日本の幽霊の手足(その5)

鈴木春信の「見立反魂香」

鈴木 春信(すずき はるのぶ、享保10年〈1725年〉? - 明和7年6月15日〈1770年7月7日〉)とは、江戸時代中期の浮世絵師。

鈴木春信 - Wikipedia
ちなみに円山応挙

享保18年5月1日(1733年6月12日)- 寛政7年7月17日(1795年8月31日))

円山応挙 - Wikipedia
ほぼ同時代の人。


画像はこのブログのが大きくて鮮明。
鈴木春信〜見立反魂香♪♪〜 ( 絵画 ) - 「 根付道」 - Yahoo!ブログ
こっちにも
紅葉狩りと寛永の三筆 / 東京国立博物館 平常展 | 南風録ぶろぐ
鈴木春信 @東京国立博物館 : Art & Bell by Tora


女性が手紙を燃やすと煙の中に送り主の男性の姿が見える。これは1698年(元禄11)初演の「傾城浅間嶽」という歌舞伎の影響によるものだと思われ。

世界大百科事典 第2版の解説
けいせいあさまがたけ【傾城浅間嶽】
歌舞伎狂言。お家物。3幕。作者不詳。1698年(元禄11)正月,京の早雲座(山下半左衛門座)初演。小笹巴之丞を中村七三郎,傾城奥州を岩井左源太,家老和田右衛門を山下半左衛門,傾城三浦を芳沢あやめほか。京東山における浅間明神の開帳を当て込んだ作品。1幕目,禿(かむろ)が持っていた奥州の起請を火にくべると,煙の中から奥州の姿が現れ口説(くぜつ)を述べる場面が,のちに影響作として書き替えられた〈浅間物〉の特徴となる。

傾城浅間嶽(ケイセイアサマガタケ)とは - コトバンク


「反魂香(厳密には違うが)」で現れた男には足がある。例のランプの魔神のように下半身が細くて煙のようになっているわけでもなく、それに該当する部分は体の外にある。さながらスター・ウォーズ エピソード4でR2D2がルークとオビ=ワンに見せたレイア姫のホログラムのよう。幽霊っぽさは微塵もない。この男は死者なのだろうか?「傾城浅間嶽」の煙の中の傾城奥州は生霊だそうだから、こっちも生きている可能性大。


これが円山応挙ど同時代の絵。


そこでまた疑問が湧くのだが円山応挙の「反魂香之図」というタイトルの絵が正しく反魂香の絵だとして、その反魂香は白居易の「李夫人詩」の反魂香のことだと言い切れるものだろうか?


極端なことを言えば「反魂香之図」の女性は死者なのかということさえ考えなければならないのではないか?まあ、これはさすがに髪の毛が乱れてるし白い服を着てるので死者の可能性が高いように思われるけれど。ただし「李夫人詩」で煙の中に現れる李夫人が死者の姿をしていると書かれているわけではないので、それはそれで考えなければならないことのように思われ。