労多くして益少なし

昨日に引き続いて日経BPの花岡信昭氏のコラム
「これでいいのか? ブログ世界の理不尽な未成熟さ」
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/y/02/

について断片的ながら、思ったことを書いておく。
花岡氏については、俺も批判的なことを書いたんだけど、花岡氏がネットで流通していた、根拠の不確かな言論に対して立ち向かったことについては大いに評価したい。
これはやったことのある人だけしかわからないが、精神的にも体力的にも相当な負担が生じることだ。
その中でも、特に大変なのは、立ち位置が自分と似ている人の言論を批判する場合。
相手が「敵」である場合にはそんなに精神的な負担はない。元々対立している相手であるのだから、今さら批判されても、どうってことない。むしろ、批判されればされるほど、やりがいがあるというものだ。


しかし、「味方」を批判する場合は、ストレスが溜まる。ついさっきまで一緒になって「敵」を批判していた仲間から、猛烈な批判を浴びるのだ。「いや、君たちのやってること全部を否定しているわけじゃないんだ。だけどこれだけは間違ってると思うんだ。そういうことをやってると、足元を掬われる危険があるんだ。」と思ってやっているのにもかかわらず、相手はわかってくれない。


ついつい、ぶち切れたくなるってものだ。しかし、キレてしまったらおしまい。最後まで冷静でなければならない。
しかも、そこまで苦労して、やっと説得できたとしても、感謝されることは滅多にない。口うるさい奴だという印象が残るだけというほうが多い。


残念ながらそれが現実だ。そういう役割を自ら引き受けようとする人は、覚悟しなければならない。
苦労は多いが、益は少ない役割である。しかし、誰かが引き受けなくてはならない。
そういう人がいないと、いつの間にか、トンデモな言説が大きな声になってしまい、最終的には世間から見放されてしまう。
今の左翼がそんな感じ。トンデモ陰謀論が内輪から批判されることが滅多にない。
(全くないというわけではない。例えば911陰謀説には内部からも少しは批判があるようだけど。)


花岡氏は立派な仕事をしたのだが、最後にキレてしまった。残念なことである。