定期預金の自動継続

asahi.com:「満期ほったらかすと預金消滅」否定 最高裁、初判断 - 社会


自動更新特約付定期預金の払い戻し請求権の時効はいつなのかというのが論点。銀行側の主張は最初の満期から10年で消滅するというものであったが、最高裁は「解約の意思表示がない限り、払い戻し請求権の消滅時効の計算は進まない」と判断した。


素人目にみてきわめて妥当な判決。だが、そもそも何でこんなことが裁判になったのだろうか?記事を見るだけではわからない。


で、調べてみたら、すでに判例が公開されていた。
裁判所判例Watch


これによると、この定期預金は1987年2月にA信用組合に預け入れられたもの。その後A信用組合は合併してB信用組合(2002年8月に銀行に営業譲渡)となる。2002年8月にB信用組合に(B信用組合の破綻に不安になり)解約を申し出たところ、「本件預金が既に払い戻されているとして,本件解約申入れに応じなかった」。2003年に提訴。銀行側は1987年5月に預金は解約されたと主張。また「払戻請求権の消滅時効が既に完成しているとして、これを援用」した。


第1審、原審(東京高裁)とも、本件預金の弁済の事実は認められないとした。第1審は時効成立を認めたが、東京高裁は時効が成立していないとした。銀行側が最高裁に上告→上告棄却。


つまり、最高裁で争われたのは、払い戻し請求権の時効であるが、元はといえば解約した、しないの争い。銀行側は解約の事実を立証できなかった。立証できないというのはどういうことか?解約したというからにはそれなりに根拠があるのだろうが、通帳に記入してあれば問題ないはず(と思う)。ATMで解約して通帳未記入のままデータ消失という意味か?このあたりよくわからない。


こういうケースがあると、現在の預金者データを保存しておくのは当然だが、過去の自動継続型定期預金の顧客に関するデータを解約済で長期間取引が無くても全て永久保存しなければならなくなるということになるような気もする。銀行にとってはかなり重要な問題だったりして。