政府と官僚

田母神氏の更迭問題について。自衛隊のことなので、「文民統制」だとか、外国の軍隊ではとか、そういう観点から論じられているものが多い。


だけど、俺は最初からこの問題を政府と官僚の問題と捉えているんで、これは別に自衛隊に限ったことではないだろうと思っていて、そういう視点があまりにも少ないのでイライラしている。イライラしているんだけれど、この問題を論じるには、あまりにも知識が足りないので、誰かが論じてくれるだろうと期待して待っている。


待っているだけじゃ何なので、考える材料として、政府の意に沿わない官僚を更迭した参考事例。


郵政担当の2幹部更迭 首相の意向受け総務相(2005/05/17【共同通信】)

 麻生太郎総務相は17日、今国会で郵政民営化関連法案の成立を目指す小泉純一郎首相の意向を受け、松井浩総務審議官を郵政行政担当から外し、清水英雄郵政行政局長を政策統括官に降格する幹部人事を発表した。

 

これについて有名ブロガーの間で論争があった。まず清谷信一氏が、
総務省郵政担当幹部「更迭」。何故いけない?民間企業では当然ですよ。 清谷信一公式ブログ
という記事を書いた。内容はタイトルそのまま。


それに対して、官僚の側からbewaad氏が反論した。
archives of bewaad institute@kasumigaseki(2005-05-25)

archives of bewaad institute@kasumigaseki(2005-06-26)

反対意見を有することを理由として命令違反がないにもかかわらず更迭したのであれば、それは人事権の行使として不適切だと思います。

この構図は今回の騒動と同じ(だと思う)。


なお、今回の騒動でbewaad氏は田母神氏は更迭に値すると述べている。
実際の理由はさておき、その歴史の不勉強さだけでも更迭に値した田母神前航空幕僚長 - BI@K accelerated: hatena annex, bewaad.com
郵政の件での主張を照らし合わせれば、「反対意見を有する」ことが更迭支持の理由とは思われず、「不勉強」だからということなのだろう。「だけ」と書いてあるのだから他の理由もあるのだろうが、それが何かはわからない。あと、逆に言えば郵政の場合、官僚は「不勉強」ではなかったということなんだろう(それを判定する権限が誰にあるのか知らないけれど)。


ちなみに俺は清谷氏と同意見。


あと、目にとまったのが、民主党参議院議員松井孝治氏のメルマガ。
京都から この国をかえる 第116幕

≪更迭問題≫

  また、民営化に反対する幹部官僚を更迭したことについての、
  民主党幹部が批判したことについてのご意見もいただきました。

  本当のところ、更迭された二人が
  どこまで政府方針に反していたのか、
  よくわからない部分があるので、
  事情によっては政治の指導力不足の可能性もありますが、
  私は、この更迭自体を批判するべきではないと考えます。

俺の見るところでは、松井氏は郵政民営化自体には反対していないようだが、政府案には否定的であったらしい。そういう立場でありながら、「更迭事態を批判するべきではない」としたのは、政府が方針に反する官僚を更迭することに問題がないという考えであったと思われ。あと「民主党幹部」がどんな批判をしたのか興味のあるところ。