アーサー王物語とモーセ

この前、スーパーマンの元ネタがモーセではないかという話について書いた。
スーパーマンと桃太郎 リターンズ

出エジプト記』によれば、モーセが生まれた当時、イスラエル人が増えすぎることを懸念したファラオはイスラエル人の男児を殺すよう命令した。出生後しばらく隠して育てられたが、やがて隠し切れなくなり、葦舟に乗せてナイル川に流された。そこへファラオの王女(一説にはハトシェプストとも言われる)が通りかかって彼を拾い、水からひきあげたのでマーシャー(ひきあげる)から「モーセ」と名づけた。

モーセ(ウィキペディア)
これがスーパーマンに似ているという話なのだが、上と同じく『古代文明の謎はどこまで解けたかⅡ』(太田出版)を読んでいたら、アーサー王の物語にもこれと類似した話があった。

アーサーの甥、もしくはアーサーがモルゴースとの近親相姦でできた不義の子とされる。マーリンはそのモードレッドのことを暗に示し、「5月1日に生まれた子供が、アーサーの王国を滅ぼすだろう」と予言する。その結果、王国中の5月1日生まれの子供がモルドレッドを含めて集められ、船に乗せて海に流される。しかし、モルドレッドは奇跡的に助かり、ナブールに助けられて成長し、騎士としてアーサー王の前に現れた。

モルドレッド(ウィキペディア)


でも、モードレッドはアーサー王に敵対した人物であるから、モーセをモデルにしたとはちょっと考えにくいですね。ただし、

史書の類に現れる記録のうち、最古のものは『カンブリア年代記』である。それによると、西暦537年に「アーサーとメドラウト(Medraut、モードレッドと同一人と見られる)カムランの戦いで死亡した」、との記載が見られる。しかし、別に「アーサー王とモードレッドが戦った」との記述が見られるわけではなく、アーサー王とモードレッドが味方同士だったと考える余地がないわけでもない。

カムランの戦い(ウィキペディア)

とあり、古い伝承ではモルドレッドがアーサー側の人物であった可能性があり、そうなるとモーセをモデルにしていても不自然ではないのかもしれない。良くわからないけれど。