近頃ちらほらテレビで豊臣秀吉毒殺説を見かける。たとえばテレビ東京の「決着!歴史ミステリ」とか。
しかし、一般的には、信じる信じない以前に、秀吉毒殺説というものが存在することすら知られていないだろう。「秀吉 毒殺」で検察しても有益な情報はなかなか見つからない。
ネットだけではなく秀吉関連の書籍でも秀吉毒殺説に言及したものは極めて少ない。俺は一度だけ「荒唐無稽で取るに足りない俗説」みたいな形で言及された歴史家の本を見たことがあるが、そういう形であっても取り上げているのは良心的だと思う。
この説はもっと知られていてよいものだろう。なぜか多くの歴史家から抹殺されている。
歴史家というものは俗説など取り扱わないものだというのなら一応納得できるが、実際は秀吉に関したことに限っても、批判的な形で取り上げているものは多くある。にもかかわらず、毒殺説について沈黙しているのが不思議でならない。俺は、特に深い理由があるわけでもなく、なんとなくそうなってしまったのではなかろうかと思う。
一方、在野の研究家でもこれについて言及する人が少ないのはどいういうわけかといえば、おそらく、この手の人たちは、学界の定説を批判するという形で、自己主張するというタイプの人が多いので、そもそも学界で言及されていないから、関心が低いってことになっているのではなかろうか。
で、肝心の秀吉毒殺説だけど、あまりにも情報が足りないので、そもそも毒殺説というのはどういうものなのかすら良くわからないというのが実情。ただし江戸時代には結構流通していたらしい。
ネットで検索すると沈維敬という使者の所持していた不老長壽の秘薬を飲んで死んだという説がある。
⇒秀吉は毒殺?
⇒沈惟敬 - Wikipedia
俺が前に聞いた話では、別の人物だったような気がするけれど(1/14訂正。確認したら同一人物だった)、それもまた明から来た人物が秀吉に仙薬を処方して、それが原因で死んだという話だったと思う。で、「毒殺」だというわけだけど、見方によっては与えたほうも、飲んだほうも、それが本当に薬効があると信じていた可能性もあるわけで、しかし実際は体に悪い成分が入っていて逆に寿命を縮めたという話として解釈できないこともない。
実際古代には水銀が不老長寿の仙薬と認識されていて、逆にそれで健康を害してしまったなんて話も良く聞くわけで、それを「わかっている人」が見れば「毒殺」だと見ることもできるわけで、現代でも怪しげな民間療法によって逆効果になることがあるけれど、信じている人からみれば、薦める方が善意でやっていても、別の見方をすれば「殺人行為」とみなせなくもない。
秀吉のケースもそういうことだった可能性もあり、だとすれば、この話は荒唐無稽と安易に退けてよい話じゃないと俺は思うのだ。
(あと出展不明だけどこういう話もあるみたい)
⇒戦国ちょっといい話・悪い話まとめ ”ゆうげき”の丸薬