「神話・伝説」に史実は含まれているのか?

他に信頼できる史料があるなら、それと比較してみればいいわけだけれど、それが無い場合、神話や伝説の中に真実が含まれているのか否かどうやって確認すればいいのだろう?


俺は無理っぽく感じる。


特に神話・伝説に含まれている事柄が真実である可能性が高いと主張するのは難しいように思う。


その逆に、絶対とは言えないまでも、神話・伝説にある事柄に真実が含まれていない可能性が高いということを主張することは、比較的容易なことなのではないかと思う。


というのも神話・伝説には類似した話が他にあることが良くあるからだ。


極めて似た事が、別の時代、別の場所でも起きたと伝えられている。一つだけなら偶然ということもできるかもしれないが、複数の類似があると偶然性は低くなる。多くの類似点があれば、これはもう偶然というよりも、史実ではないとした方が良いであろう。


ただし、いかに類似していても、全く史実が含まれていないとは限らない。たとえば洪水があったとする伝説があって、その物語がいかに類似していても、その地で洪水が無かったとは言い切れない。洪水があったという話に尾ひれがついたものかもしれない。その点は注意しなければならないだろう。


だけど、そのとき村の老婆がどうしたとかいう話が、他の地域の洪水伝説にもあったら、それはその「尾ひれ」の部分であって、史実ではない可能性が高いだろう。


だから、一口に神話・伝説に史実が含まれている可能性があるとはいっても、上の例で言えば、「洪水があった」という史実が含まれているかもしれないということであって、村の老婆がどうしたとかいう部分に史実が含まれている可能性は低い。


故に、もし科学的に洪水のあったことが確認されたとして、「神話・伝説にも史実が含まれているのだ」と言っても、それはそうかもしれないけれど、神話・伝説の真に神話的な部分については、やはり史実ではない可能性が高いのである。


と、俺はそういう歴史論的なことにド素人だけど思っている。ツッコミどころがあったら遠慮なくしてください。