天孫降臨神話の真実(その2)

天孫降臨神話の真実
のつづき


日本書紀』一書(第一)によれば「天神」はイザナギイザナミに地上世界を統治するよう命じた。しかしイザナギイザナミは地上の主を生むことに失敗した。次にアマテラスが地上を統治させるために皇孫を降臨させた。


イザナギイザナミの天降りと皇孫の天降りという同種の話が同じ神話の中で語られているのは奇妙に思える。


だが、これは二つの神話が合成されたものではない。なぜなら、これとそっくりな構造を持つ神話が他にあるからだ。


その神話はとても有名なものだ。


それは旧約聖書の『創世記』だ。


考えてみれば実に単純な話だ。この時点で俺が何を言いたいのか理解した人もいるだろう。


だが、この答を見てどん引きする人も多いのではなかろうか?


こいつは日ユ同祖論的なことを主張しようとしているのかと。「失われた10支族」がどうのとか言い出すのではないだろうかと。


もちろん、そんなことを主張するつもりはない。


ただ似ているから似ていると言うまでだ。


しかし、日本神話と聖書の比較などというと、その時点で電波系の雰囲気が漂ってしまうということも事実だ。考えてみれば不思議なことで、これが日本神話とギリシャ神話が似ているというような話ならこうはならない(なる場合もあるけど)。


なぜそうなってしまうのかというと実際に電波系の主張が多いということがあるだろう。よって、この手の話を毛嫌いする人は多い。研究者も意識的に、あるいは無意識に避けているということもあるかもしれない。


だけど、ギリシャ神話やアジアの神話やその他世界の神話と比較するのと、聖書を比較するのとに特段違いがあるわけではない。それに聖書と日本神話が似ているからといって、直接繋がっているとは限らない。たまたま聖書に日本神話との類似点があることに気付いただけであって、世界には他にも類似の神話があるかもしれない。


だから必ずしも電波だというわけでもない。そこのところを踏まえた上でこれから書くことを判断していただければ幸いである。


(つづく)