天下布武の意味(2)

中国の古典(『礼記』)に「堂下布武」という熟語が載っている。

礼記(らいき 繁体字: 禮記; 簡体字: 礼记; ピン音: Lǐjì; ウェード式: Li-chi)とは、周から漢にかけて儒学者がまとめた礼に関する書物を、戴聖が編纂したものである。全49篇。これは唐代以降、五経の1つとして尊重された。現在通行している『礼記』は後漢の鄭玄注、唐の孔穎達疏の『礼記正義』(『十三経注疏』の一つ)や陳澔の注釈した『礼記集説』など、多数存在する。

礼記 - Wikipedia


礼記正義』には、

堂下布武。布●武謂毎移足、各自成迹、不相?

と書いてある。よ、読めない…


てなわけで、今度は「"堂下布武"」で検索してみる。約1万6000件ヒットするけれど中国語は読めないので日本語の記事で絞り込む。すると8件ヒットするけれど実質2人。両者とも「天下布武」の語源は「堂下布武」だとしている。
堂下布武" - Google 検索


天下布武の誤解 (末法への終止符) | 平成談林
によれば、

「布武」という言葉には歩き以外に意味はない。「武」(ふ)は「歩」(ふ)なのである。

帷薄之外不趨,堂上不趨,執玉不趨。堂上接武,堂下布武。室中不翔,并坐不膻肱。授立不跪,授坐不立。

何の事はない、立ち居振る舞いの仕方を書いたマナーブックの言葉である。

意味は堂上(皇帝のいる所・幕でしきられた範囲)は接武(すり足),堂下(それ以外)は布武(布幅程の歩幅) で歩くようにと、
つまり歩くマナー言っているのだ。 文章には見た通り立ったり座ったりのマナーが続いている。

礼記は日本でも律令時代から殿上人が先ず習う必須の作法の教科書である。
御所に参内する可能性のある当時の公家や武将達にとっての必読書であり、接武・布武は身につけなければならない基本的所作であった筈だ。

中国哲学書電子化計画での英訳は、布武を(FOOTSTEP)と訳していて、武力の意味は全くない。


「天下布武」とは「天下を闊歩する」の意: Dagaya Blog (ここをクリック)
によれば、

 これによると、布武とは「大股に歩く」の意であることが分かる。兵の行軍のように大股で歩くさまから「武」の文字を用いるらしいが意味するところは軍事とは全く無関係である。

とある。



何ということでしょう!


「武」は「歩」であり「布武」とは布幅程の歩幅で大股に歩くことを言うのであった。


(つづく)