天下布武の意味(1)

天下布武」とは信長が使用した印章だが、その意味は「天下に武を布(し)く」だと一般に考えられている。「天下」とは「日本」のことか「畿内」のことかといった点で意見がわかれているが、「武」すなわち「武力」でもって「天下」を平定するという意味だというのが大勢だ。
織田信長 - Wikipedia


だが、「武」というのは「武力」のことではないという説もある。『春秋左氏伝』の「七徳の武」(武の七徳)のことだというのだ。

1 《「春秋左氏伝」宣公一二年から》抗争・軍事に関する七つの徳。武力行使を禁じ、武器をしまい、大国を保全し、君主の功業を固め、人民の生活を安定させ、大衆を仲良くさせ、経済を繁栄させること。

しちとく【七徳】の意味 - 国語辞書 - goo辞書


数年前から見かける説で、ネットでヒットする件数もどんどん増えてきている。
天下布武 七徳 春秋左氏伝 - Google 検索


なかなか魅力的な説だ。俺もその可能性があるんじゃないかと思って、これについていつか書こうと考えていた。で、「いつやるか? 今でしょ!」というわけで、その準備のためにネットであれこれ検索してみた。


特に知りたいのは「布武」という言葉の使用例が中国にあるのかということだ。「天下布武」で検索すると114万件もあるので絞り込むことにする。「天下」「天下布武」「織田」「信長」「岐阜」といったキーワードを除外してみる。これでも7万件あるけど、とりあえずこれで検索してみる。なかなかそれっぽいものが見つからない。


やっと17 ページ目で

禮記正義(曲禮): - 51 ページ - Google ブック検索結果
books.google.co.jp/books?isbn=9579402302 - このページを訳す
龔抗雲, 鄭玄, 李學勤, 孔穎達 - 2001
衛氏^亦作『布武』。」據迹也。此注釋布字義,不嘗又云武。』按此「武』上毛居正云:「注武字當作布,蓋上句注已云:武,「布」字原無,按阮校:「岳本「武」上有「布』字。亦謂不疾趨,堂上迫狭故也。下階則趨,故^ 8 云:之庭至路門,趨謂路門至應門。〇「堂上不趨」者, .

というのがヒットする。中国にも「布武」という言葉があったのだ。


そしてリンクをクリックすると
「堂下布武」
という熟語が出てくる。「天下布武」と「堂下布武」。似ているではないか。


(つづく)