桃からパッカーン

ついでだから
TVCM │au学割「桃太郎の出生」篇 30 秒

浦島太郎「ねぇ桃ちゃんって本当に桃から生まれたの? 」
桃太郎「うん、そうだよ」
金太郎「え?桃からオギャーって?」
桃太郎「いや、パッカーン、オギャーって」
浦島太郎「何その音ー」
桃太郎「いや、ばあちゃん鉈で思いきり、パッカーンっつって」
金太郎「あぶねえじゃん」
桃太郎「ちょっと当たってさー」
浦島太郎「うそ、当たったの?」
桃太郎「で、ばあちゃん『あ、ごめんごめーん』って」
浦島太郎「そこ謝るんだあ 」
桃太郎「でも俺『いいよー』って言って」
金太郎「どんな産まれ方だよ」
桃太郎「パッカーン」


楠山正雄 桃太郎(青空文庫)

 こうおじいさんは言(い)いながら、桃(もも)を両手(りょうて)にのせて、ためつ、すがめつ、ながめていますと、だしぬけに、桃(もも)はぽんと中から二つに割(わ)れて、
「おぎゃあ、おぎゃあ。」
 と勇(いさ)ましいうぶ声(こえ)を上(あ)げながら、かわいらしい赤(あか)さんが元気(げんき)よくとび出(だ)しました。


巌谷小波 日本お伽噺集(近代デジタルライブラリー)

「それは何より有難い。ちようど、腹も減つてるから早速御馳走に預からう」と、勝手の方から、庖丁を持ち出し、件の桃を、俎にのせて、眞二つにしようとしました。
 すると、不思議や桃の中から、可愛らしい子供の聲で、
「お爺さん待つてちようだい」と。云うかと思ふと、その桃が二つに割れて、その中から一人の赤子が、ひよつこり踊り出しました。


竹取物語』と違って桃太郎にはこれが原典だというものはないけれど、上に引用したように、おばあさん(またはおじいさん)が桃を割ったのではなくて、桃が勝手に割れたというのがスタンダードな話っぽい。


なお、上はおじいさんが手に乗せてながめているとき、下はおじいさんが桃を切ろうとしているときに桃太郎が生まれてきたのであり、桃を拾ったのはおばあさんだけど、誕生におばあさんが関与していないことには何か意味があるのかもしれない。


※ 現在おばあさんが桃を切るという話が広く受け入れられているのは一体どういう理由からであろうか?「桃を切る→家事労働→女の仕事」という連想から発展したのだろうか?それはいつからなのか?意外に最近なのか?ジェンダー問題に関心のある人は調べてみてはいかが?