日本の若者はビートルズを聞いてなかったという話は本当か?

日本の若者は、ビートルズなんて聴いてなかったのか? - あざなえるなわのごとし
ビートルズなんて聴いてなかった日本の若者反社会学講座ブロ


小熊英二『1968』を直接読んでいないんだけれど話題になっているから。

小熊 英二(おぐま えいじ、1962年9月6日 - )は、日本の社会学者、慶應義塾大学教授。専攻は歴史社会学・相関社会科学。

小熊英二 - Wikipedia
というわけで小熊氏は1968年には生まれてはいたけれどまだ6歳。俺は小熊氏より年下だけれどそんなに違わない。俺も生まれていたけれど当時どうだったかなんて全く知らない。


俺がビートルズに興味を持ったのは1970代後半の中学生のとき。当時ビートルズの情報はテレビではそんなになかった。といっても俺が興味を持ったきっかけになったのは三ツ矢サイダーのCMだったから影響力はあった。それ以上に影響力があったのは雑誌とラジオ。ラジオでは頻繁にビートルズの曲がかかっていた。俺は洋楽に興味があったからそういう番組で聴いてたけれど、それ以外の番組、パーソナリティがニューミュージック系だろうがアイドル系だろうが頻繁にかかっていた。俺はほぼ全曲エアチェックして聴きまくっていたので、80年代になると「またビートルズ特集かよ」って感じでいい加減うんざりしてきたほど。


で、1968年。当時既に白黒ではあるがテレビの普及率は90%超えていた。でも中学・高校生ならラジオを良く聴いていたんじゃなかろうか?そんでラジオを聴いていたならビートルズの曲は嫌でも聴くはめになったんじゃなかろうかと俺は思うんだけどどうなんだろうか?なおオールナイトニッポンは1967年放送開始。月曜日が糸居五郎(糸居氏は1981年までやってて俺も聴いてた)。石坂敬一氏が1963年にビートルズを最初に聴いたのは糸居五郎の番組だったそうだ。
日本におけるビートルズ受容+Summary in English(PDF)
※ この記事にも雑誌とラジオの影響について書かれている。


ちなみに、最近の若者は洋楽を聴かないというけれど、俺の感覚ではベストヒットUSAが放送されてた80年代の若者でも、それ以前の若者よりも洋楽を聴いていないんじゃないかと思う。いや自信ないんだけど、戦後日本にアメリカ文化が大量に流れこんできて(GHQの方針もあったんだろうが)ドラマにしろ歌にしろ60年代の方が影響力が強かったんじゃなかろうか?(そもそも音楽自体をそんなに聴かない層が多かったんだろうけど)


年間シングルヒットチャートというサイトがあって、1968年はサウンド・オブ・サイレンス(S&G)が7位、マサチューセッツビージーズ)が9位。デイドリーム(ザ・モンキーズ)が34位、サイモン・セッズ(1910フルーツガム・カンパニー)が38位(知らん)、すてきなバレリ(ザ・モンキーズ)が42位、ドック・オブ・ベイ(オーティス・レディング)が45位、ヘイ・ジュード(ビートルズ)が48位モンキーズのテーマ(ザ・モンキーズ)が50位、とベスト50の中に洋楽が8曲も入ってる。なお演歌は意外に少ない。


まあビートルズの順位が低いのは確かだ。1968年以前のチャートはわからない(オリコン創業が1967年)。アイドル的な人気はもうなくなっていたのだろう(アルバムセールスはわからない)。ただ、それをいうなら学生運動と関わりあるボブ・ディランやピーター・ポール&マリーなどもチャート的にはそれほどでもないんじゃないかと思われ。


※ なお渋谷陽一が言ってるのは中学時代のことで、1951年生れだから1964-1966のことになる。山下達郎は1953年2月生で早生まれだから1学年下か。