浦島太郎とウラシマ効果(その2)

浦島太郎の話が実は本当にあったことで、亀は実は宇宙船で光速に近い速さで移動したのだというような話を良く目にする。


たとえば

「浦島太郎は、宇宙旅行の物語であるという可能性が考えられます」

とは、京都大学宇宙総合研究ユニットと京都精華大学の共同事業「宇宙とアート」プロジェクトに参画している、京都情報大学院大学教授の作花(さっか)氏の言葉。一体どういうことだろうか?

「昔々、浦島太郎は船で大きな亀を釣り上げた。亀は乙女に変わり、浦島太郎を蓬山(とこよ)の国に誘った。乙女が船をこぎはじめると太郎は眠ってしまった。目を覚ますと光り輝く島に着いていた。島の屋敷に連れられた浦島太郎は、『昴星(すばるぼし)』『畢星(あめふりぼし)』と呼ばれる子供に出会った。浦島太郎は島で3年過ごした後、故郷に帰ることにした。太郎が故郷に戻ると、太郎が知っている人は誰もいなかった。太郎が島で過ごした日々は3年だったが、地上では300年が経っていた」

これのどこが、宇宙旅行の話なのだろうか?

作花氏いわく、「最も重要なのは、島で浦島太郎を出迎えた子供」とのこと。昴星、畢星というのは、おうし座のプレアデスとヒアデスという星で、それぞれ地球から410光年、140光年の距離にある。このことより、「浦島太郎が訪れた蓬山の国は、おうし座星団の中にある、どこかの星だった可能性が考えられます」とのこと。

浦島太郎は、亀に乗って竜宮城に行ったのではなく、超高速の宇宙船ではるか彼方の星に行った、ということになる。どひゃー!

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まあ、あとで「こんな妄想にふけってみるのも」とあるので本気で言っているわけじゃないだろうけれど、この考え方には実は大きな問題がある。


というのも、

太郎が島で過ごした日々は3年だったが、地上では300年が経っていた

とあるからだ。繰り返す
「島での3年が300年」


もうお気づきになられたと思うが、「超高速の宇宙船ではるか彼方の星に行った」のならば、
その「超高速の宇宙船」での滞在時間が地上では約297年なのである。


または、星自体が光に近い速さで移動しているとしなければならないが、おうし座のプレアデスとヒアデスという星がそんな速さで移動しているなんて話は聞いたことがない。


星での3年は地球でも3年である(もちろん地球が太陽の周りを回る時間を1年として)。だから浦島太郎が3年の倍の6年いたとしても600年にはならなくて303年になるだけであろう。


だから

浦島太郎が島で過ごした時間と、故郷での時間の進み方が違っているのもある程度説明がつく

という表現は不適当、少なくとも誤解を呼ぶ説明ということになるでしょう。「島で過ごした時間」ではなく「故郷を出てから戻ってくるまでの時間」とするのがよいと思われ。


そうですよね?科学が苦手だから少し不安だけれど。


※ ところで300年というのは『丹後国風土記』における記述で、『丹後国風土記』では「不意之間」で到着したという。150光年先ということだと光の速さで150年(本当はもっとややこしいらしいが)、光速に近い速度だと地上より時計の進み方が遅くなるが、ウィキペディアによれば宇宙船が光速の90%の速度で航行しているとすると1年が0.44年になるという。150年なら66年の計算。往復で132年。もっと早くて光速の99%だと1/7になるという情報もあるけど、それでも300年が約42年に縮まるだけじゃね?「竜宮城が光速の99.995%で飛んでいた」という情報があるけど、この計算が正しいとして「竜宮城」が飛ぶという話だから、星(龍宮城)への移動が超高速と想定するケースではさらに速くなければならないでしょう。



(つづく)