「きっこの日記」とメディアリテラシー

(これは11/25日頃に、削除されたブログに書いた記事なんだけど、最近きっこの日記が大きな話題になっているので、ここに再アップしておきます。まさかこれが削除の対象だったとは思えないので大丈夫だとは思いますけど、一応念のため、固有名詞と、きっこの日記に言及しているブログを紹介した部分を削除してあります。)


きっこの日記」とメディアリテラシー
ARTIFACT@ハテナ系の今日のエントリー、
■[個人サイト]「きっこのブログ」を情報源にするの禁止な!
http://d.hatena.ne.jp/kanose/20051124/kikko

こういう胡散臭いサイトを情報源として取り上げるのは、サイトの信頼度を下げる行為だ。

 「きっこのブログ」、「きっこの日記」というのは、有名なブログなんだそうだけど、俺がその存在を知ったのは、「愛・蔵太の気ままな日記」で今年6月に「劣化ウラン弾」関係(リンク)で紹介されてからのこと。
 で、まあ俺は「劣化ウラン弾」のことはよくわからないんだけど、そういうわからない人間にとって、この日記に書いてあることが本当のことなのか、出鱈目なのかは、ソースが明示されていない以上、判断できかねるわけです。
 そういうものをうっかり信用してしまって間違っていたら、かなり恥ずかしいことになるわけで、その場合、そんな間違ったことを書いた人が悪いと責任転嫁したところで、信用してしまったという事実は消えないわけです。
 もちろん大手メディアの報道といえど、必ずしも正しいものばかりというわけでもなく、それはそれで慎重に真偽を見分ける能力を身に付けるべきであるとは思うけれど、そういうものを信用して騙されるのと、ネット上の「怪しげな情報」を信用して騙されるのとを同列にはできないわけで、こういうのをろくに検証もせずに信用してしまう人というのは、かなりおっちょこちょいな人であると思います。
 とはいえ、そういう「怪しげな情報」であっても、中には本当のことも含まれている可能性もあるわけで、また、その手の情報には面白いものでもあるので、頭の片隅に入れて置くというだけならば問題はないと思います。
 で、俺もその手の情報は大好物なんで「きっこの日記」をRSSリーダーに登録してあります。登録してはいるんだけど、覗いて見ればわかるように、ものすごい量の文章が毎日更新されていて、読むだけでも相当な時間がかかり、さらに検証しようと思えば、とてつもなく時間がかかりそうなので、結局のところほとんど読んでいません。もっと短ければいいんだけど、他にも読むべきものがいっぱいありますからね。
 ‥‥そんなワケで、今回の耐震強度の偽装問題について、「きっこの日記」で取り上げられたのが11/19日の「建築界のゴールデントライアングル」。さらに20日に「信用もマッサカサマ 」、21日に「民営化の落とし穴」。そして今回、kanose氏が指摘したのが23日の「本当の黒幕は?」。
 で、ざっと読んだところ、一体どうやって調べたのだろうかわからないけど、とにかく良く調べてあります。まあ調べてあるっていったって、俺は専門外で、且つあまりこの問題に興味ないから、本当に調べて書いてあると断言できるものではないし、ネットで調べればすぐにわかる情報なのかもしれなかったりするんだけど、読んだ限りでは、適当に書いているようには見えないし、印象として、かなりの労力を使ったように見えます。
 そして注目すべきことに、その文章に説得力があります。どのくらいあるかっていうと、「陰謀論を唱える評論家(この部分元は固有名詞)」より、遥かに説得力があります。なぜかと考えるに、論理に飛躍があまり見られないからではないかと思います。彼らの主張は、その主張の基になった情報が正しいとしても、ツッコミ所がありすぎなのですけど、彼女の主張はその主張の基になった情報が正しければ、納得できるところが多いように感じます。
 問題なのは、その肝心な情報が正しいのか正しくないのか判断できないというところですね。まあある程度は検索エンジンを使って検索すれば確認できるものなのかもしれません(やってないですけど)。また図書館にでも行って、新聞の縮刷版を調べたりすれば確認できるものもあるかもしれません。しかし「内部告発メール」などは、実際に元社員に取材するとかの方法でなければ確認しようがありません。
 ただし、「確認できない」=「出鱈目である」ということにはなりません。まあ、こういう論理はトンデモさんの常套手段であって、これを言い出すとキリがないわけですけど、だからといって、確認できないことが全て出鱈目になるものではありません。普通に考えて、何らかの事情でソースを明かせないということは、よくあることだからです。
 じゃあどうすればいいのかって言えば、「怪しげな情報源」の「確認不可能」な情報は信用すべきではないと思います。もちろん絶対に有り得ないということは有り得ないのですけど、信用してしまうよりはましだと思います。例えば「地球が太陽の周りを回っている」なんて「常識」では考えられないわけで、そういうことは「専門家」でなければ真偽の確かめようがないわけで、「専門家」による研究と議論の末、それが正しいと認められた後、我々は新たな「常識」として「地球が太陽の周りを回っている」ということを信用したわけで、天文学の知識がないものが、いくら事実だ、事実でないと議論したところで無益なことです。
 ですから、この場合、自力で調査する能力を持っている人は、情報を確認するために動くのは無益なことではありませんけど、それ以外の人が、何にも動きもしないで、脳内で正しいと思い込んで、それを基にあれこれ論評するのは軽率であり、信用を落とすだけであると思います。
 で、よく見かけるのが「これが事実だとしたらとんでもないことだ」というような主張。これは責任回避のための保険ですね。これで「自分は本当だと信じていたわけではない」と言い逃れできると思っているわけですね。でも、「事実が事実でないのかわからないのなら、事実確認することが最優先事項」ですよね(ただし例外もある。それを書くと長くなるので別の機会に)。
 それとkanose氏が指摘した後、今度は一転して、嘘サイトだの、騙されただのと言ってる人がいるわけですけど、これまた根拠のないことで、これもよく見かける光景なんですけど、何とも場当たり的ですね。
(以下言及しているブログを紹介してたけど省略)
(以上、今でも基本的にこの考え方で、きっこさんの日記を読んでいます。)