本当は恐ろしい「ヘンゼルとグレーテル」(2)

ここからが俺の考え(もちろんいつものようにトンデモ)。「ヘンゼルとグレーテル」と「姥捨て伝説」は類似した部分があるのだけれど、それは物語の前半部分だけ。その後の兄妹は森で魔女に捕まって、魔女を退治して、財宝を持って家に帰る。そんな話はもちろん「姥捨て伝説」にはない。


ということを別の言い方で表現すれば「姥捨て」が元となった伝説とは別系統の「伝説」があって、それが前者と合体しているのだろうということ。ということは、後者の伝説で、ヘンゼルとグレーテルが捨てられた理由は、飢饉の時の口減らしのためではない可能性があるということ。


それは何か(そもそもこんな考え方が間違っているかもしれないということはスルーの方向で)。後半の伝説を大雑把に要約すれば、兄弟は魔女を退治して財宝を持ち帰るという話。どこか身近で聞いたような話。何が言いたいのかといえば、もちろん「桃太郎」と似ていると言いたいのである。


桃太郎はなぜ鬼が島に鬼退治に出かけたのだろうか?良く知られている昔話の桃太郎では、鬼ヶ島の鬼が人々を苦しめていることを知った桃太郎が鬼退治を決意するということで、桃太郎はとっても「良い子」だ。しかし、桃太郎は必ずしも良い子だとは限らない。


基本の桃太郎(民話想)

 そして爺さまと婆さまと可愛がって育てたと。そのうちに桃太郎はだんだん大きくなって、腕白ばかりして、あっちの家からもこっちの家からも苦情を言われて困っちまって、爺さまと婆さまは
「そんなに腕白ばかりしんだら(するのなら)、鬼ヶ島の鬼退治サ行って来。鬼退治出来ねぇければ、家サ寄せねーぞ(家に入れないぞ)」


解説に『これは、殆ど「死ね」と言うに等しい命令でもある。』と書いてあるけれど、これは全くその通りだと思うわけで、爺さまと婆さまは桃太郎が鬼を退治できようができまいが知ったことではないのだ。厄介者の桃太郎が家から出て行ってくれればそれでいいのであって、鬼退治なんて口実にすぎないのだ。


俺は「ヘンデルとグレーテル」の後半部分の話も、この「桃太郎」と同様、本来は、兄妹を追い出した理由は、彼らが「やんちゃ(それもとてつもなく)」で手に負えなかったからだと考える。