オバマの孟子引用

オバマの孟子引用だが - finalventの日記

孟子謂高子曰。山径之蹊間、介然用之而成路、為間不用、則茅塞之矣。今茅塞子之心矣。

米国大統領は中国政府にこう説教した。米中関係というのは緊密な連絡があればそれなりに意思の疎通もあるものだが、それがなくなれば、両国内外の反対勢力が障害になって、国家の健全な交流はできなくなる。現在はといえば、中国内外の反北京勢力の謀略や利権に追われて、中国は米国と意思疎通が難しくなっているのだよ。


オバマ米大統領の孟子引用 隠れたメッセージ?米中の現状を暗示か - MSN産経ニュース

 これは、米中の相互理解には絶え間のない対話が必要だと述べたものだが、孟子の原文には、引用部分に続き、「いま茅があなたの心をふさいでいる」という一言が残されている。ここまで読むと、米中関係の現状は、意思疎通を欠いた結果、相互理解が欠落しているという懸念が浮かび上がる。

これを読むと「山中の小道」とは、「米中間を結ぶ道」のように解釈しているように思える(違ってたらごめんなさい)。


ところが、
オバマ・オリジナル⇒The White House - Press Office - Remarks by the President at the U.S./China Strategic and Economic Dialogue
には、

Our task is to forge a path to the future that we seek for our children

ってあるんですよね。


米中戦略経済対話:米大統領開会演説 孟子引用、協力呼び掛け − 毎日jp(毎日新聞)
では、

未来を切り開く道

と訳されてますね。


ちなみに孟子の言う「山径之蹊」とは、ちょっと調べてみたところによると「学問の道」という意味らしいですね。高子というのは孟子の弟子だったんだけれど、後に離れていった人だそうだ。


俺が思うに「山径之蹊」が二国間のことだとすると、孟子と高子の関係ということになって、両者に上下関係ができてしまうんじゃなかろうかと。「学問の道」「未来を切り開く道」ならそうはならないですよね。


(追記)
というか、読み返してみると、産経新聞山本秀也記者は。

ここまで読むと、米中関係の現状は、意思疎通を欠いた結果、相互理解が欠落しているという懸念が浮かび上がる。

と書いているんですね。ところが「産経抄」では、「中国通の山本秀也ワシントン総局長によれば」としながら、

軍備拡大や人権問題で、中国がとる頑(かたく)なな姿勢を、きちんと批判していることになる。

になっている。
【産経抄】7月30日 - MSN産経ニュース


最初に見たのが「産経抄」だったので釣られてしまったけれど、両者の言ってることは違いますよね。


隠された意味があるとしたら、それは「米中関係の現状」への懸念であるとする、山本秀也ワシントン総局長が正しいと思いますね(ただし「意思疎通=道」としているようにみえるのが疑問だけど)。中国を「高子」にあてはめているのではなく、米中関係の現状を「高子」にあてはめているんでしょう。そこからさらに「中国がとる頑なな姿勢」への批判が内包されているとしても、直接的に孟子の言葉からは導き出せないように俺は思います。