自民党が保守政党になるべきという理想主義

昨日も少し書いたけれど、この手の理想論は現実を直視しているように俺には思えませんね。ついでに民主党が「社会民主主義的な政党」だというのも幻想だと思いますね。

あるいはこうして書いてきたいずれも、日本では実現しないのかもしれない。政情は安定し、米英的な二大政党制が徐々に形成されていくのかもしれない。民主党はやがて社会民主主義的な政党として浮上するかもしれないし、自民党はそれに対する選択肢になりえる保守政党になるのかもしれない。しかし日本の有権者がこれまで疑いようもなくはっきりと示したことはただ一つ、「日本人も半世紀に一度は気が変わることもある」ということだけだ。

「日本にとって素晴らしい日」(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース


「米英的」って書いてあるけれど、そんなに米英ではきれいに分かれているんですかね?傾向としてはあるかもしれないけれど。


たとえばイギリス。

ビル・エモットは、現在の英国(およびその影響を受けたドイツ)では、誰もこの思想を話題にはしておらず、ブレア自身も政権の途中からこの言葉を使わなくなった、理由はそんな思想など元々存在しなかったからだ、と主張している。彼によれば、「第三の道」は左派政党が支持者に対して「右派の政策を採択することによって左派を裏切ろうとしているのではない」ことを説得する方便にすぎないからだとしている。ブレア政権は確かに福祉・教育予算を拡充し、サッチャー政権下で荒廃した病院や教育を立て直すことを目指したが、充分に成功したとは評価されていない。理念として提示した社会的公正の実現もさほど成功しなかった[1]と分析している。政策を実行する上では有権者の強い支持を得ることができ、政権運営の役に立ったが、保守政権の政策を基本的に踏襲した政策の実情はブッシュ政権の唱えた「思いやりのある保守主義」と呼ぶべきものであり[2]、また、「第三の道」が新たな政治路線ではなく、「思いやりのある保守主義」であることに有権者が気づいたことも、2度連続して総選挙に大勝したブレアが辞任に追い込まれた理由の一つである、と主張している[3]。

第三の道 - Wikipedia


基本的な流れとして、名目上、保守・リベラルと区分けされていても、実際はどちらも「保守化」してるんじゃないですかね?アメリカでも民主党内の保守が勢力を伸ばしているって話があるし(リーマンショック前の話だけれど)。


一方、全体として保守化している中で、元々の保守の分裂化の話も聞く。たとえばこれ。
中岡望の目からウロコのアメリカ » ウィリアム・バックリーと保守主義運動:なぜアメリカの保守主義は蹉跌したのか

逆にいえば、もともと異なった主張の保守主義グループが一本化して候補者を支持することが難しいのかもしれない。レーガン大統領のような強力な指導者がいたことで、融合主義的な連合を結成することが可能だった。


日本だって同様でしょう。自称「保守」が、我こそは「真の保守」だと主張して、お互いを攻撃する現象が、ここ数年顕著になってきた。はっきりいって、保守同士にほとんど共通点がない。かつては左翼という共通の敵がいた。今は左が「保守化」している。保守をまとめるためには、変化した左を旧来の左翼と変わらぬものとして攻撃するか、保守化を拒否している、今やほとんど影響力のない(声だけは大きい)左翼を過大に評価して攻撃するとかの方法があるかもしれないけれど、空しいだけだ。


保守政党」になるといっても、保守の概念が違っているのだからまとまるわけがない。だから、自民の取るべき道は、意見の食い違いがあっても、元々違うんだから、食い違うのは当たり前だくらいの、「割り切った緩やかな保守連合」ではないかと思いますね。