俺は漢方薬に全く興味がないんだけどさ

そもそももだ、この話は事業仕分けで「市販品類似薬」を保険適用外にする方向という話なわけだ。で、財務省の査定担当者が提示した「市販品類似薬」の中に「漢方薬」が含まれていると。しかし、範囲については議論が必要だというわけで、それについては厚生労働省と関係機関が議論するという話。で、民主党漢方薬に肯定的だから、外される可能性は低いと。


それが、「漢方薬が保険適用外になるという話」としてネットで拡がったわけだ。だから漢方薬についての話題ばっかりだけれど、別の表現で拡がっていたなら別の反応が起こっていたはずだ。なぜなら、「市販品類似薬」には、「湿布薬やうがい薬」、あるいは「ビタミン剤、健胃剤、弱いステロイド外用薬、弱い鎮痛内服薬など」も含まれているわけで、そっちはいいんかいって話だから。


もし、「ビタミン剤が保険適用外の方向」とかいう話だったら、それはそれで「困る人達(利用者・生産者)」がいて、それらが保険適用外になるのは反対という主張がクローズアップされていたはずだ。しかしそれがそんなに話題にならないのは、最初の話が「漢方薬」の話だったからではないのか。


そんで、「漢方薬が保険適用外になるという話」という「物語」が作られて、そこに、「民主党批判」だとか「財務省の陰謀」だとか「専門知識のない素人が云々」とか「漢方薬疑似科学か」とか「マスコミ批判」だとか、果ては「中国の陰謀」とかいった様々な「物語」が絡み合っていったわけだ。


でもって、「お前らちょっと落ち着け」って話がでてきても、それでも最初の「物語」を捨てきれず、改訂版の「物語」を語り続ける人や、騙されたといいつつ「物語」から抜け出せず、あさっての方向を向いた話をしている人や、抜けたけれどまた別の「物語」にどっぷりはまってしまう人もいるわけだ。


世の中「第一印象」が大切だというけれど、まさにその通りで、勘違いしていたなら、いったんゼロ地点に戻って「物語」を再構成すべきであるのだが、それに大した労力を必要としなくても、なぜか人は既に出来上がってしまった「物語」にこだわって、一歩か二歩戻るだけで良しとしてしまうケースがよくある。


この件で言えば、本来論じるべきことは、「市販品類似薬」を保険適用外にすることの是非、是とするなら適用範囲はどうすべきかという話であり、漢方薬の話をするにしても、現行通りにすべきなのか、一部は除外してもいいのか、全てを除外すべきかといった議論をするべきところなんだと思うわけ。



んで、俺は漢方薬についての興味はなく、この件で関心があるのはもっぱら、「物語からの脱出」ということについてなんですね。