次に
都側は株主総会の終了後、二〇〇七年二月に東電労務人事部の副部長が来庁し、一般病院への移行を相談したとする文書を公開。文書には、当時の都医療安全課長が「条件さえクリアできれば、一般開放は可能」と回答したと記録されており、その後は東電側から相談がなかったという。都は東電に事実確認を求める方針。
⇒東京新聞:東電答弁うそ 猪瀬副知事が抗議:社会(TOKYO Web)
これを「東電は一般開放しようとしてたのに都が許可しなかった。それなのに猪瀬副知事は一般開放していないと批判した。おかしいではないか」と批判するのは妥当か?という話。
しかし、都は許可しなかったのではなくて、「条件さえクリアできれば、一般開放は可能」と回答したのであり、東電が条件をクリアすれば良かっただけの話だ。
ちなみにその条件とは、
都は、医療法が「営利を目的として病院を開設しようとする者には開設許可を与えないことができる」と規定していることなどを踏まえ、設置者が営利目的の株式会社ではなく、医療法人が望ましいとの立場だ。
⇒「関係者専用」東電病院…「一般開放に難色」はウソ?+(2/2ページ) - MSN産経ニュース
ということだ。
東電はあくまで「職域病院」としてやっていきたかったので、それを拒否したということでしょう。
それは東電の都合であって、東京都の都合ではない。
では、なぜ東京都は条件を付けたのか?他にも職域病院でありながら一般開放している病院はある。Yosyan先生は一般開放すると病床数が増えるからだと推測している。しかし条件は医療法人にすることだから病床数が最大のネックになったわけではないことがわかる。
ただ、保険診療で一般患者を受け入れる企業の病院は珍しいわけではない。都内にはNTT東日本関東病院(品川区)や東芝病院(同)、JR東京総合病院(渋谷区)などがあるが、都によると、こうした病院は「もともと地域の患者を広く診療し、要望もあった。地域の医療機関などとも調整しているという事情がある」と説明する。
(産経新聞)
これは「状況が変化した」ということではないだろうか?東電が一般開放を望んだのは2007年のこと。NTTやJRが開放したのはいつかわからないけれど、それよりも前のことだろう。
その時点では病院がまだ十分になかったので一般開放はむしろ歓迎だったのではなかろうか?しかし、東電が一般開放しようとしたときには状況が変わっていた。東電病院は一般開放していなかったのだから、それは地域にとっては「無い」も同然だ。医療機関が不足していればその前提で新たに設立されることになる。そこへ今になって一般開放すると言われても「何を今さら」という話になるだろう。
それでも「医療法人」にするという条件をクリアすれば許可するというのだから、東電は素直に受け入れれば良かっただけの話だ。開業したくてもできない人からすれば不公平だとすらいえる。何でそれが東京都の責任になるのか。
さらに言えば低稼働率の病院を改善するのが目的であれば、方法は一般開放する以外に無いというわけではない。
病院を縮小するなり廃止すればいいのだ。
(病院を廃止するというと抵抗感を示す人がいるかもしれないが、東電病院は低稼働なのだから、使われていなければ元々無いのと同じだ。ちなみに東電社員のためというけれど、東電社員ですら使っていないから低稼動なのだ)
そもそも低稼働の病院を放置しておくというのは、民間企業の経営者としてどうよ?という話だ。東京都に言われなくたって、そんなの自発的にやることだ。まさに「親方日の丸」。民間企業でありながら、国営企業の欠点をそのまま保持しているのだからどうしようもない。
東電の言い訳は言い訳になっていないのである。