NHKの取材が杜撰だったと思う理由(その2)

次にNHKニュースから

進路を選ぶ3年生の夏を迎えたUさん。絵が好きで、アニメのキャラクターデザインの仕事に就きたいと、専門学校への進学を希望していましたが、入学金の50万円を工面することが難しく、進学は諦めました。

子どもの貧困 学生たちみずからが現状訴える - YouTube
(名前はイニシャルにした。以下同)


「入学金の50万円」とある。「アニメのキャラクターデザインの仕事に就きたいと、専門学校への進学を希望して」とあるから「デザイン系の専門学校」あるいは「アニメーションの専門学校」だと思われる。しかし、
キャラクターデザイナー 専門学校 | キャラクターデザイナーを目指す学校の一覧はこちら | ベスト進学ネット
で調べると、

専門学校 東京デザイナー学院 17万
東京アニメーションカレッジ専門学校 10万
横浜デザイン学院 15万
日本電子専門学校 記載無し 2年次との差額 16.5万(アニメーション学部)
HAL東京 30万(HPによる)
東放学園映画専門学校 20万(HPによる)
専門学校デジタルアーツ東京 10万(HPによる)
専門学校 日本デザイナー学院 18万(HPによる)
東京デザイン専門学校 18万(HPによる)
アーツカレッジヨコハマ 記載無し
東京コミュニケーションアート専門学校 クリエーティブデザイン 記載無し
専門学校 東京ネットウエイブ 15万
東京デザインテクノロジーセンター専門学校 10万
東京モード学園 記載無し
創形美術学校 18万
TMC 東京マルチメディア専門学校 記載無し 2年次との差額 13.5万
大原情報ビジネス専門学校 記載無し
横浜デジタルアーツ専門学校 記載無し 2年次との差額 20万
町田・デザイン専門学校 記載無し

という具合(東京・神奈川のみ調べた。なお手作業で調べたので絶対に正確というわけではないのであしからず)不明なのもあるけれど入学金があったとしても飛びぬけて高いということは無いと思う。

※ なお代々木アニメーション学院は専門学校ではない。いわゆる無認可校。ちなみに入学金は20万円。


入学金50万円の専門学校は存在しない可能性が高い


もちろんこれは「入学金」ではなくて「入学費用」のことではないか?という推測はありえる。可能性としては入学金と半年分の授業料とか、入学金と学習に必要な道具の購入費用だとか、入学金と東京で暮らすための初期費用とか。


それはそうかもしれない(そうでないかもしれない)。とにかく言えるのは「入学金」ではない可能性が高いということ。つまり事実と異なる可能性があるということ。些末なことだと思うかもしれない(だが本当に些末なことだろうか?)が、NHKに限らずテレビ局は「些細な間違い(大半の人にとっては本当にどうでもいいようなこと)」であっても、間違いがあったことを認めたなら訂正するのは、テレビを見ている人なら良く知っていることだと思う。


この件でNHKが訂正したという情報はまだ無いと思う。


それはなぜかといえば、知らないのか、それとも「女子高生が語ったことを伝えただけだから」かのどちらかであろう。そんなのが報道に値するのか甚だ疑問だが、それ以上に

進路を選ぶ3年生の夏を迎えたUさん。絵が好きで、アニメのキャラクターデザインの仕事に就きたいと、専門学校への進学を希望していましたが、入学金の50万円を工面することが難しく、進学は諦めました。

という説明で「女子高生が語ったことをそのまま伝えただけ」だと視聴者が判断できるかといえば、そんなの到底無理であり、明らかに問題であろう。そしてさらに言えば女子高生が本当に「入学金」と言ったのかさえ疑わしいとさえ言えるのではないか。


そもそも、女子高生が語ったことをそのまま伝えるのならば、「Uさんによれば」とか「とUさんは語りました」として伝えればいいのであって、それをなぜしなかったのか不可解としか言いようがない


たとえば同じニュースで

Uさんは「夢があって、強い気持ちがあるのに、お金という大きな壁にぶつかってかなえられないという人が減ってほしい。いろいろな人に知ってもらって、助けられていく人が増えてほしい」と話しています。

と書いているところもある。であればこそ、それ以外の部分は女子高生ではなくてNHkが語っていると受け取るのが当然のことでしょう。NHKが責任逃れできるとは到底思えない。



(つづく)