古文書解読(その4)

書き忘れがあったので追記。

確かにこの文書には「事」が漢字で表記されている。しかしながら、その大半は「事」と書いて「こと」と読むものどあり、「じ」と読めるのは「御返事」の一回のみである。


しかるに「返事」とは

大辞林 第三版の解説
〔「かえりごと」の漢字表記「返事」を音読みした語〕
返事・返辞(へんじ)とは - コトバンク
返り言/返り事(カエリゴト)とは - コトバンク

であるので、この「御返事」も「おかえりごと」と読むのであれば、「事」の漢字表記は全て「こと」と読むことになる。


したがって「さいじ」が「細事」でも問題ないのではないかと思う。


他に「さいし」にふさわしい文字は無いか考えたけれども、今のところ一つも思い浮かばない。仮に「御返事」が「おへんじ」であった場合は、多少問題があるかもしれないけれども「細事」を否定する決定的な論拠にはならないと思う。


(7/23追記)
補足すれば、葛西・岩付では「取合」、常陸口は「弓矢」に「手合せ」で、「弓矢」の方が大規模な合戦を連想させる。つまり葛西・岩付においては小競合いでも障害になるかもしれないが、常陸口においては大規模な戦へ北条が参戦しても障害にはならないということを言いたいのだと思われ、そういう文脈で見れば「さいし」が「細事=些細なこと」という意味であることは十分に妥当であろうと思う。