世の中には頭の良い人がいます。そういう人から見れば、何でこんなばかなことをするんだろう、何でこんなことがわからないのだろうと思う気持ちはわかります。しかしおばかの一人として言わせてもらえば、別にばかになりたくてなったわけではないので、ばかと言われれば、「はいその通りでございます」としか答えようがなくて、口では「二度とこのようなことはいたしません」なんて言ってても、実のところ、ばかなので、何度でも繰り返してしまいます。もちろんばかだからと開き直っているわけではなくて、ばかはばかなりに努力しています。しかしばかなんで、その努力も間違った方向であることもしばしばあります。頭の良い人から見れば、これまた何てばかなんだろうと思われることでしょう。しかし別の見方をすればばかがあっての頭の良い人でもあります。この世からばかがいなくなったら、頭の良い人もただの人でございます。でありますれば、ばかを大切にお思いになって、ばかが致命的なことをしないよう、頭の良い人は、ばかを馬鹿にするのではなく、ばかがばかなことをするのは何故なのかをあえてばかの立場になって考えていただければ、なるほどばかはこういう理由でばかなことをするのだなとわかっていただけ、それなら仕方がない、だったらこういう方法ならばかでも間違えないだろうと、知恵の一つや二つ頭の良い人ならたちどころに思いつくであろうと思われ、さすれば世界はハッピーになれるのでありますから、ばかをばかと馬鹿にするだけでなく、よりよき方向に導いてくださればよろしかろうと思うわけであります。