不二家はなぜ期限切れ牛乳を使ったのか

もったいないからと思っている人が多いみたいだ。「もったいない」の意味は、コスト高という意味で使っているんじゃなかろうかと思う。あるいは資源を無駄にしないという意味か。


⇒(参考)不二家はどうして消費期限切れの牛乳を使用したんでしょうか?(Yahoo!知恵袋)


そうだろうか?


不二家ISO、経産省が臨時審査を要請…取り消しも(読売新聞、以下引用は全て読売記事)

不二家は2001年から04年にかけ、国内5工場で環境管理規格「ISO14001」の認証を受けた。06年6月には、本社の品質保証部と資材部が品質管理規格「ISO9001」を取得している。

ここにある、環境管理規格「ISO14001」が重要。不二家が、なぜこの規格を得ようとしたのかといえば、不二家という企業は環境問題に熱心に取り組んでいると社会にアピールするためであることは容易に想像できる。環境問題に熱心に取り組んでいるということは、具体的には、「資源を無駄使いしない」とか「廃棄物を出さない」ということだ。

また、不二家は11日の会見で、「埼玉工場はISO認証を受けており、廃棄物が一定量を超えると、是正報告書を書かなくてはいけないため、(消費期限切れの牛乳を)捨てづらかった面もあったようだ」と釈明した。

というような理由で、不二家は余った牛乳を安易に捨てることができなかったと思われる。廃棄物を出さないためにはどうすればいいかといえば、期限切れを出さないよう努力するのが本来のやり方であるが、不二家の場合は、期限切れを使用することによって、廃棄物を減らしたというわけだ。


「余らせた牛乳を廃棄して新しい牛乳を使えばコストがかかる」というような理由よりも、こちらの理由の方が大きいだろうと思う。「もったいない」といっても、それはもったいないことをする企業であると社会から見られることを怖れたという意味での「もったいない」ではないのだろうか。

「ISOは、品質管理や環境への配慮を目的としているのに、体裁を整えることを優先しては本末転倒」

と財団法人「日本適合性認定協会」はコメントしている。在庫管理がズサンであったことが問題なのはもちろんだが、単にズサンなだけだったら、廃棄物が増えて、非効率な経営ということで終るのだが、それに加えて「環境に優しい企業」であることをアピールするための数字合わせのために、廃棄すべきものを廃棄することができなかったということだったのではないかということが、現在あまり論じられていないようだが、注目しなければならないと思う。