日本は孤独であるけど

ネタとしては古くなってしまったかもしれないが、ちょっと前に「日本人の孤独感」みたいな話がネット上で盛り上がっていた。これがどういう意味かよくわからない。よくわからないので、「日本は孤独か」というテーマで勝手に俺の思うところを書いてみる。


で、結論からいえば、日本は孤独である。ただし、日本に限らず、どこの国も孤独だと思う。


そりゃ困った時に助けてくれる国があるというのは大切なことだけど、それは利害関係があるから。一見非情のように見えるかもしれないけど、逆に他国の痛みを本気で自国の痛みと考えているとすれば、それはその国を自分のものだと考えているってことではなかろうか。自分の持ち物が他人に荒らされるのは許しがたいことだから。しかし、そうなると、それはそれで大変困ったことになると思う。


イラクの事例で言えば、イラク国内には、他国からテロリスト(レジスタンスと呼んでも別にいいけど)が入国して活動している。彼らはイラク人のために戦っているというよりも、汎アラブ主義やムスリムのため等の理由で戦っているのではないだろうか。それがイラクという国家にとっての利害と一致するとは限らない(たとえば彼らはイラクキリスト教徒のために戦っているのだろうか?よく知らないけど)。まあイラクの場合はイラクという国家自体が危うくなっていて、イラク国家のために戦うという意義が揺らいでいるってところがあるけれど。


国という単位で考えるのなら、どこの国だって実質的に支配しているのでなければ、本当にその国のことを考えているのは「国民」だけ。何で他所様のために、国民の生命や、財産を犠牲にしなけりゃならないのだって話。


日本について言えば、日本人の生命・財産を守るのは日本国民であって、米国民ではない。というと「アメリカはいざというとき守ってくれない」みたいな話になってしまいそうだけど、もちろん安保条約もあるし、アメリカは有事になったら助けてくれるだろう。北朝鮮がミサイルを発射したら、北朝鮮は崩壊する。しかしそれはあくまでアメリカの国益だから。だから日本という国家さえ守ることができれば、どれだけ日本人に犠牲者が出ようが、国土が焼け野原になろうが、知ったことではない…というのは言い過ぎで、実際は経済が混乱したらアメリカにも飛び火するし、その後の日米関係という点で被害を最小限にしようとは思うだろうが。


それはアメリカだけではなく、中国と仲良くしようが、ロシアと仲良くしようがそうなると思う。それがけしからんということなら、国家そのものを否定する必要があるだろう。例えば「地球市民」とか。あとは「大東亜共栄圏」とか。


大東亜共栄圏」というと否定的なニュアンスになるけど、必ずしも悪とは限らない。なぜなら、日本自体が明治維新までは多くの国があって、それぞれが武力を持っていたのだから。それが今では一つの国家になっている。アジアが一つの国になっているという歴史の可能性だって十分ある。それがもし上手くいけば、「日本地域」が攻撃されれば、それは「自分達の共同体」への攻撃であるからして、中華民族朝鮮民族も心の底から憤るだろう。しかし、現実には「大東亜共栄圏」は、非現実的なものであったし、現在でも、どんな形であれ、それに類似したものが出来る見通しがあるとは思えない。無理に作れば平和どころか悲惨なことになるのは必至。


というわけで、日本人の生命・財産を守るのは日本国民ではあるが、それは必ずしも日本の軍備を強化するという選択だけではなくて、「憲法九条を守る」という選択肢も可能。さらにいえば自衛隊の廃止だって選択肢の中に入る(もちろん非現実的だと俺は思っている)。それは「日本人の生命・財産を守るのは日本国民」の対立概念ではないと思う。俺の考えでは憲法九条と日米同盟は日本人の生命・財産を守るのに今までは役立ってきたと思う。ただし、これからもそうかといえばそれはわからない。憲法制定時に日本がどうやって国を守るか選択できたのかといえば、そうではなかったとは思うが、これからどうするのかというのは我々が選択すること。


ちなみに俺が憲法九条をどうすべきと考えているかというのは内緒、というか考えがまとまらない。