大混乱

発端はこれ。

片山さつき ‏@katayama_s

@taiyonokokoro50国民が権利は天から付与される、義務は果たさなくていいと思ってしまうような天賦人権論をとるのは止めよう、というのが私たちの基本的考え方です。国があなたに何をしてくれるか、ではなくて国を維持するには自分に何ができるか、を皆が考えるような前文にしました!

http://twitter.com/katayama_s/status/276893074691604481


自民党改憲草案についてのもの。

第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。

ちなみに現行憲法はこうなっている。

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

つまり「自由及び権利には責任及び義務が伴う」が付け加えられている。


片山さつきの意見が自民党の総意なのかはわからない。片山氏が言う「義務」とは「自由及び権利を守るための義務」であって、天賦のものだからといって守る努力をしなければ権利を行使することができなくなってしまうということであり、義務を果した者にのみ権利が与えられるというギブ&テイクの意味でないことは明らかである。


問題は前半の

国民が権利は天から付与される、義務は果たさなくていいと思ってしまうような天賦人権論をとるのは止めよう、というのが私たちの基本的考え方です。

だが、天賦人権論が「国民が権利は天から付与される、義務は果たさなくていいと思ってしまうような」考え方だという意味であれば、それは誤りであろう。


民主主義国家であれば、憲法に義務が書いてあろうが無かろうが、そのような義務は当然存在していると考えるべきではなかろうか?なお現行日本国憲法には「国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」と書いてある。これが義務でなくして何であろうか?


ゆえに自民案は現行憲法をより詳しく具体的に変えたというだけであり本質的には何も変わっておらず、現行憲法を否定しているのでなければ、それに対する批判は、義務については現行憲法に既に書かれているのであって、あえて「自由及び権利には責任及び義務が伴う」などという当然のことを書く必要などないというものであろう。