低価格批判への素朴な疑問

歌田明弘の『地球村の事件簿』: 低価格を追い求める消費者の声に応えて行き着く先は?


なるほどとは思う。だけど素朴な疑問もある。


もしもある業界で「低価格けしからん」ということになって、それを禁止する法律なり自主ルールなりができたとする。すると、嗜好品などは別だが、消費者が必要としている商品は、多少価格が高くても買わなくてはならないから、業者は、過酷なコスト削減競争をしなくても、利益が期待できる。


それは業界外の人から見れば「おいしく」見える。自分たちが激しいコスト削減で苦しんでいるのに、向こうは濡れ手に粟で利益を得ている。自分のやっていることが馬鹿らしい。その業界は「おいしい」ので誰も手放そうとはしない。合理化は進まない。消費が右肩上がりに上昇している間は、それでもいいかもしれないが、頭打ちになってくると、消費に比して過剰な販売者が存在することになり、うかうかしていると利益を取り損ねる。限られたパイの中で利益を手にするにはどうすればいいか?価格競争は禁じられているのだから、別の手段を講じなければならない。


かくして販売競争が始まる。具体的には、客の家に出向いて、嫌がられているのにしつこく勧誘する。あるいは、値下げが駄目なら景品を付けて販売しようとする。しかし景品を付けたのでは実質的に値下げになってしまうので制限が付けられる。末端には過酷なノルマが課せられるが、ルールを守っていたのでは売り上げが減ってしまうので、こっそりルールを破ったりする。それが発覚しても、上にまで責任が行かないような仕組みが作られる。


なんてこともあるんじゃないのかなあ?というか、身近なところにも…


などと思ったりなんかして。