10回クイズ

質問者「『ピザ』と10回言ってください」
回答者「ピザ、ピザ、ピザ……」
質問者「(腕を折り曲げて指で示しながら、)それではこの腕の角のところをなんと言うでょう?」
回答者「ヒザ?」
質問者「残念、肘(ひじ)です」

10回クイズ(ウィキペディア)


ウィキペディアによると、1987年にラジオ番組で云々と書いてあるけれど、少なくとも70年代後半には既に流行していました。俺が最初にひっかかったのは「ヒラヤマ」と十回言わせて、「世界で一番高い山は」と聞かれるもの。

簡単な問題に回答者が間違ってしまうのは、記憶にプライミング効果と呼ばれるものが働くからである。これによって最近聞いた言葉や、関連の深い言葉が思いつきやすくなる。そこでクイズに答えるときに、間違って答えてしまうのである。

と解説されているけれど、それだけかなと思う。というのも、上に書いた「ヒラヤマ」での俺が騙された例だと、最初に「ヒマラヤと10回言ってみて」と言われてその通りにすると、「じゃあ今度はヒラヤマって10回言ってみて」ときて、またその通りにして、最後に「世界で一番高い山は?」と聞かれるものだったから。


こっち側の心理としては「10回言ってみて」という相手の意図がわからない。で、これは早口言葉のように噛まずに言えるかをテストしているのだと勝手に推測し、そこに意識が集中する。次に「世界で一番高い山は」と聞かれる。「プライミング効果」により「ヒマラヤ」を連想する。だけど質問者が唐突にそれを質問したのは何か罠があるのだろうと、そこまではこっちにもわかる。しかし、その「罠」が、「本当の答えはヒマラヤなのにヒラヤマと答えさせようとしているのだろう」と理解し、釣られないぞと思いながら、まんまとひっかかってしまう。そういう仕組みになっているわけですよね。


ある人がAということを主張して、また別の人がAとは正反対のBということを主張する。議論はAかBか、あるいはその中間にあるのかということになるが、それとは全く別の考え方があることには気付かない。自分は何物にも縛られずに自由に考えていると思っているにもかかわらず、一定の枠がはめられていて、後になってみれば、何でこんな単純なことに気付かなかったのだろうと思うようなことが目に入らない。そういうことはザラにあると思いますね。