ピラミッドは公共事業だった?

エジプトのピラミッドは謎の多い建造物だ。なぜ古代人は、あんな巨大なものを作ったのだろうか?これについて、「公共事業説」が有力な説として唱えられている。


ピラミッド(ウィキペディア)

ヘロドトスの『歴史』に記述されて以来、一般的には奴隷の築いた王墓とされてきたが(“奴隷”の記述は階級闘争を進めるソ連の教科書に初めて記述された)、一人の王が複数のピラミッドを築いていることや内部からは墓としてのミイラがまだみつからず、多くのピラミッド建造に関わったとされる住居跡から豊かな生活物資や住居人のミイラ(身分が高くないとミイラにはされない)が発見されたことなどから、農閑期における公共事業説がほぼ定説となっている。

俺は歴史に興味があるが、日本史について調べるのが精一杯なもんで、エジプトにまで手が回らない。だから、この「公共事業説」が正しいとか正しくないとか論じるほどの知識は全く持ち合わせていない。そもそも、これが誰が唱えたもので、どういう根拠でそう考えられるのかも知らない。


だけど、全く知識がなくたって、何かおかしいと思う。なぜなら、現代において「道路や空港がなぜ作られたのか」という疑問に対する答えが「公共事業のため」というものだったら、それはそれで一つの答えだが、もちろん道路は「人や車などが通行するため」に、空港は「航空機が発着するため」に作られたのだ。ピラミッドが「公共事業のため」に作られたというのが正しいとしても、ピラミッドに何の機能があるのかという答えになっていない。


ただし、上でパチンコ景品について書いたけど、この場合、景品が「ライターの石」であることに特に深い意味はない。景品が何かについてよりも、景品交換システムに意味がある。ピラミッドもこれと同じで、とにかく人を大量動員できれば、作るものはピラミッドでも何でも良かったのだろうか。


ここでウィキペディアの説明に戻る。すると、ここで言う「公共事業」とは奴隷を強制的に使役して作ったのではなく、公共の利益のために「市民」(というのが適当かは知らないけど)が、事業に従事したという意味なのではないかと思えてくる。とすれば、彼らはピラミッドを作ることを意味のあることだと考えていたことになる。ところが一方では、ピラミッド建設は失業者対策という意味での「公共事業」であるかのように書いてあるところもある。この場合は、仕事さえあればピラミッドでなくたって構わないだろう。もちろん前者であっても失業者対策としての機能があったかもしれないし、後者であってもピラミッドは神聖なものであったかもしれないが、それにしてもかなり意味が違ってくる。


これはいったいどういうことだろう。二つの「公共事業説」があるのか?それともどこかで意味が変わってしまったのだろうか?それとも俺の解釈が間違っているのか?なんか凄く頭が混乱する。


(参考)検索して見つけた面白そうなページ
ピラミッド公共事業説について -最近「ピラミッドは奴隷が作ったもので- 歴史学 | 教えて!gooピラミッド公共事業説について教えて!goo
エジプトのピラミッドYahoo!知恵袋


ところで、「キリンの首はなぜ長い」とか「パンダはなぜ白黒なのか」とかの質問で、何々をするのに便利だからだとか、身を守るためとかいう答えがあるが、言うまでもなく動物が意図的にそうしようと思ってそうなったわけではない。「ピラミッドは公共事業のため」というのも、そういう文脈で言っているのかもと、ふと思ったのだが、やっぱ違うか。


(追記)
引き続き検索していたら、
時空の鍵穴過去ログ

公共事業という言葉が、ピラミッド建造の背景としてNHKなどが、数多くテレビで放映するので、日本では一人歩きしておりますが、実際のところは国家プロジェクト
と(国家事業)と呼ぶべきものです。

という興味深い記述を見つけた。


(追記)
「公共事業説」のルーツはこれだそうだ。

ピラミッドを探る (教養選書 57)

ピラミッドを探る (教養選書 57)