日本でなぜ切断系のギャグが受けないのか

Rauru Blog � Blog Archive � 残酷さ、忌諱、多様性と笑い
Rauru Blog面白いんだけど、今回の分析には違和感がある。日本で切断系のギャグが受けないのは単純に面白くないからだと思う。


まず前提として体を切断するというネタは不謹慎だということがある。で、不謹慎だからこそ面白いのだ。その感覚はアメリカでも日本でも変わらない。日本人が気に食わないのは、それが「安易な笑い」だからだ。不謹慎ネタなど素人でもできる。放送禁止用語や下品な言葉を連発すれば笑いが取れるが、そんなのやろうと思えば誰でもできるのであって、我々がプロに期待するのは、それ以上のものだ。実際売れない芸人が下品な言葉を連発して客がドン引きするというのはよくあるパターンだが、それは下品だからじゃなくて、面白くないから笑えないのだ。


「笑い」に対する要求が、日本とアメリカとでは違うということであって、「残酷」を許容するかしないかという問題ではないと思う。これは、日米の漫画・アニメを比較するときに言われることと似たものだ(もちろん「お堅い人」は拒絶反応を示すだろうが、それも日本だけのことではなかろう)。


ところで、この話題は、サウスパークで頭部がぶっ飛んだブリトニー・スピアーズが登場したことから始まっているわけだが、俺はそれを見た。で、感想はといえば面白かった(無茶苦茶面白かったというほどではなかったけど)。面白かったのは、単純に残酷だったからではない。それにヒネリが効いていたからだ。そもそもサウスパークは、グロシーン等の不謹慎ネタが盛りだくさんだが、単純にそれで笑いを取っているわけではなく、それ自体が皮肉になっている。一番わかりやすいのはカナダのお下劣芸人「テレンス&フィリップ」。彼らが放屁すると観客はパブロフの犬よろしく爆笑する。それを見て視聴者は笑うというわけだ。あるいはケニー君はシリーズ当初は毎回のように死んでいた。少年が死ぬというのは日本のアニメではかなりタブーだが、アメリカでもそうだろう。だけど単純にタブーを破っているから面白いのではなく、それが「お約束」になっているから面白いのだ。


俺が思うにサウスパークは、かなり日本人の感性に合っている。というか日本の影響があると思う。トレイ・パーカーは日本在住経験のある日本通だし。