というか、そもそも農耕民族って何だ?

農耕民族(のうこうみんぞく)とは、生活の主体が稲作などの農業活動により形成されている民族とその文化をいう。アジアなどのモンスーン性気候の地方に多く見られる。
牧畜民族に対比していわれるもので、和辻哲郎の『風土』のなかで、比較文化論としてこの両者が対比されて語られたことから、よく使われるようになったもの。但し、和辻哲郎比較文化論の正否については地理学者などから批判もある[要出典]。

農耕民族 - Wikipedia


で、日本人が農耕民族であるかどうかはともかく、そういう言説には比較対象となるものとして欧米人は狩猟民族だみたいな話があるわけですね。けれど、欧米人が狩猟民族っていうのは、日本人が農耕民族だと言う以上におかしな話ですよね。


当然それに対する疑問があるわけで、
農耕民族と狩猟民族という分類について -OKWave
日本人は農耕民族で、欧米人は狩猟民族? -OKWave
日本人が農耕民族と呼ばれる理由 –OKWave


とあって否定的な意見がほとんどだけれど、ちょっとソース的には不明なものが多いので、どういう経緯でそう言われるようになったのか確実なことはわからない。


あとWikipediaにもあるように、本来は牧畜民族に対比していわれるものであったようだけれど、狩猟民族じゃなくて牧畜民族とするならいいのかといえば、そんなこともないのではないかと思う。欧米文化について改めて考えてみるとよくわからないことが多いんだけど。


どうもこのへん「狩猟民族」とか「牧畜民族」とか「遊牧民族」とか「非定住民」とか「肉食文化」(今流行の「草食系・肉食系」みたいな)とか、いろんなものがごっちゃになってるんだと思う。あと実際に(最近まで)狩猟をしていたとか遊牧をしていたという話なのか、そういう文化(キリスト教等による)を受け継いでいるという話なのかの区別も明確でなかったりする。きわめていい加減だという印象。


ちなみに、こんな記事があった。

 最後に、これまでの議論を自らひっくり返すというように誤解されると困るが、ヨーロッパ人の食事に関して、ミュンスター大学でご一緒した歴史学者南直人さんから教わった意外な事実を紹介する。比較文化論は、一筋縄ではいかないという証しとして、聞いていただきたい。南さんによると、ヨーロッパ人は、昔から、肉を食う狩猟民族で、それが気質や文化にも影響を与えているという風に一般に信じられているが、それは正確ではない。食生活に関していうと、ヨーロッパ人一般が、肉を食べたり牛乳を飲むようになったのは、すなわち、いわゆる「ヨーロッパ的食生活」をするようになったのは、なんと、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのことだというのである。

ドイツ人の食事