「末子成功譚」について。
スサノオは三貴神の末子で、アマテラスに追放されたということで、どっちかというと敗者のイメージがあるけれど、英雄伝説で英雄が追放されるというのはよくあること。その後活躍して妖怪や怪物を退治してお姫様と結婚したりするのだが、スサノオ神話も同じであり、つまり「末子成功譚」と呼んで構わないだろう。
スサノオの性格は多面的である。母の国へ行きたいと言って泣き叫ぶ子供のような一面があるかと思えば、高天原では凶暴な一面を見せる。出雲へ降りると一転して貴種流離譚の英雄的な性格となる。
⇒スサノオ - Wikipedia
とあるけれど、桃太郎も暴れん坊で手に負えないので鬼退治を名目に追い出されたとされている伝承があるし、ヤマトタケル(彼も弟)も父の景行天皇が恐れて、クマソ退治を名目に追い出した話だと思うので、多面的といっても、別の話が一つになったわけではなくて、一つの物語として考えるべきだろう。
アマテラスの子のアメノオシホミミは長男だけど影が薄い。次のニニギは古事記や日本書紀の一書によればアメノホアカリの「弟」。元々は弟が天降ることになる経緯についての伝説があったかもしれないが、元々は兄弟じゃなかったのかもしれない。
⇒天火明命 - Wikipedia
次のヒコホホデミは典型的な「末子成功譚」。
次のウガヤフキアエズは存在感が薄い。むしろトヨタマヒメとタマヨリヒメの姉妹の方に意味があるのかもしれない。ヒコホホデミと姉のトヨタマヒメの子がウガヤフキアエズで、ウガヤフキアエズと妹のタマヨリヒメの子が神武。書紀ではトヨタマヒメの方が大きく扱われているけれど、本当の主人公はタマヨリヒメの方かもしれないなんて、ふと思った。
(つづく)