ウガヤフキアエズの謎(その1)

日本書紀」や「古事記」の記述が大和朝廷の都合の良いように捏造・歪曲・改竄されているというのはよく聞く話。既に何度も書いたことだが、俺はこの手の「陰謀論」(歴史学者が唱えるものも含めて)が大嫌いだ。大抵は安易な裏読みで、現在の事件で唱えられている陰謀論と大した違いはないと思う。記紀に書いてあることが事実でないとしても、だからといって、そこに「陰謀」があるとするのはあまりにも安直だ。


例えば継体天皇の「王朝交替説」。
王朝交替説 - Wikipedia
これなどは、要は「捏造・歪曲」されたとしながら、都合の良い部分だけを「史実」として、導き出されたものだろう。しかし、現代の研究家に、この時期に「王朝交替」があったようにみえるのは、実のところ、この記事が「王朝交替」をモデルにしているからだと考える方が合理的だろう。実際は、王朝交替があったという「伝説」などなく、単にそれっぽい「伝説」があって、それを王朝交替風にアレンジしたのだろうと俺は思う。もちろん、それはあくまで「王朝交替風」であって「王朝交替」ではない。もし本当に王朝交替があったのなら、こんなわかりやすい「捏造・歪曲」などしないで、ばっさりその部分を削除するほうが簡単だ。もちろんこれは、あくまで「伝説」であるというのが俺の考えだから、王朝交替があったか、なかったか、本当のところは「伝説」をいくら深読みしてもわからないんじゃないかと思う。


(とはいえ、こんな説明で陰謀論者が納得するわけがないことも承知しているけど。この件についてはまたいつか書くかもしれない)


俺の考えでは「日本書紀」の編者は、伝説を歪曲・捏造することには慎重だったと思う。その代わり、本当に都合の悪いことは記録に残さなかっただろうとは思う。で、その抹消されたものは何かということは、抹消されてしまっているのであるから、それを復元するのは困難だろうとも思う。



ただ、俺が怪しいと思っているのが、今のところ一つだけある。それがウガヤフキアエズの伝説。