若者がモノを買わないとかいう話

コデラノブログ4 : 25年前の若者は何を消費していたか
人気エントリーになっていたので、最近ちょくちょく話題になっているこの件について、俺の疑問に思うところを少し。


そもそも「若者がモノを買わない」と「若者が消費しない」では意味が異なる。若者はモノを買わないかもしれないが、「モノ以外の消費」を増やしているかもしれない。上の記事はそういうことを指摘している。とすれば若者は「モノを買わない」かもしれないが消費は減らしていないということになる。


ところが「若者が消費しない」という話もあり、これまた大きな話題になっている。
「嫌消費」世代(2010年)

 20代の彼らは、非正規雇用が多く、低収入層が多いからだと思われがちだが、実際は、他世代に比べて、男性の正規雇用率は65%、年収も300万円以上が52%と見劣りする条件にない。

と書いてあるから、これは収入が減ったので消費が減ったという話ではない。収入に対して消費意欲が少ないという話なのだろう。


ただし、この記事を見ても、若者の消費が本当に減っているのか不明。


「図表 世代・収入別支出削減意向」なるものが載せてあるが、支出を減らしたいと意向が「バブル後世代」と「収入が200〜300万」で最大になっていることがわかるだけだ。過去のデータがないので増加しているのかさえわからない。しかもこれは「減らしたい」という話であって、減らしたという話ではない。


これで一体何がわかるというのだろうか?俺は理解に苦しむ。それなりにマーケティングには役に立つのかもしれないが、これだけで「若者が消費しない」と言い切れるとは思えない。


大体、

彼らは、消費をしない訳ではないが、他世代に比べて、収入に見合った消費をしない心理的な態度を持っている。

普通、「消費をしない訳ではないが」ときたら、「収入に見合った消費をしない」が来るべきところだと思うのだが、そこが「収入に見合った消費をしない心理的な態度」と「態度」の話をしているのが、ごまかされている気分。


問題は、実際に若者は消費(収入に見合った消費)をしているのか、していないのか?といことであり、要するに、収入に占める消費の割合が過去と比較して減っているのか否かということでしょう(念のために書いておくけれど、消費額ではなくて「割合」の話)。



それについては、これがおそらく答えになるんだと思う。
貯蓄率減少は本当なの? 家計の貯蓄率をグラフ化してみる - livedoor ニュース

ここにある「世帯主の年齢階級別1世帯あたりの黒字率(全国勤労者世帯)(若年層)」


貯蓄率だから、残りが消費だと考えていいんでしょう(多分)。これを見れば、「30-34歳」「25-29歳」はほぼ横ばい。

24歳未満の値で2005年以降減少の一途をたどり、2008年に急減したのが目立つ。恐らくは不景気・雇用情勢の悪化をダイレクトに受けたのだろう。しかし直近の2009年では大きく持ち直し30%を超えて過去10年間では最高の値を示している。

「24歳未満」については、ちゃんと分析してからでないと迂闊なことは言えないけれど、とにかく「2005-2008年」にかけては「貯蓄率」が減少しているのであり、つまり消費の割合が増えていたってこと。


ここから、どうして若者が消費しないという話になるのかわからない。単身者の傾向は違うのだろうか?(もちろん個別の商品の消費が減ったという話ならあるんだろうけれど)。


とにかく何より必要なのは信頼できるデータ。