近畿の五芒星

この手の記事としては珍しくはてなブックマークの人気記事になっている。
近畿の主要神社を結ぶと『五芒星』が浮かぶとTwitterで話題に|| ^^ |秒刊SUNDAY


結論を先に言えば俺はこれを否定する。だけど、その前に書いておきたいことがいくつかある。


まず言いたいのは出典は何かってこと。秒刊SUNDAYはTwitterなどで話題になっているとしてGoogle マップをソースにしているんだけれど、そこからさらに遡ることができない。だがこのGoogle マップ作成者が発見者というわけではないだろう。で、「五芒星 近畿」で検索すればトップに
近畿の五芒星を巡る - Leyline Hunting
という記事があり、これが大元だと思われ、ここから広まったものと思われる。ただし自分が発見したとは書いてない。「今回紹介する」と書いているので、どこかで情報を得た可能性もあるし、自分で見つけたものを紹介するという意味の可能性もある。歴史関係のネット記事を見るとソースを明示しない記事が実に多い。これは歴史関係に限ったことではないけれど、しかし歴史に相当詳しいと思われる人の記事でもソースが書いてないことは珍しいことではなく実に理解し難いことだ。「発見者が誰であろうと事実は事実だ」という考えもできるかもしれないけれど、やっぱりこういうことはちゃんとしようよって思うのだ(もちろん最初に誰が言い出したかわからない場合もあるけれど、それでもどこで知ったかということは書けるでしょう)。


で、次に俺はこの五芒星を否定するけれど、「レイライン」というか「聖地と聖地を結ぶ」という考え方自体を否定するものではないから、これを否定する言説にも一言いっておきたいのである。


一つは、日本に神社はたくさんあるのだから、いくらでも見つかるという話。確かに日本に神社はたくさんある。しかし、ここで取り上げられている伊勢神宮熊野大社はただの神社ではなく日本有数の神社だ。したがってその否定の仕方はおかしい。また、いくらでも見つかるからといって、その中に「本物」が含まれていないという証拠にはならない。これは他の理由によってそれが否定されるときに、ではなぜそのような図形になっているのかという説明としては有効だが、最初からそれで否定するというのは間違っている。


次に文献に載ってないという話。トンデモを否定する時によく使われる手法だが、文献史料が無いからといってそれを全否定していては歴史学そのものが崩壊する。史料がなくたって検証する価値のあるものはある(無いものもある)。


(つづく)