「正史」(その7)
ウィキペディアの「正史」の記事。最初読んだときには特に気にしてなかったんだけれど今読むと気になる。
⇒正史 - Wikipedia
正史(せいし)とは、
1. 東アジア諸国において、主に国家によって公式に編纂された王朝の歴史書のことである。中国の二十四史が代表的なものとしてあげられる。
2. その国の政府が正統と認め、対外的に主張し、また教育する自国の政治の流れ。以下では主に1.について述べる。
大辞泉の「正史」の意味は、
1 国家などが編纂した歴史。→外史(がいし)
2 中国で、最も正統と認められた、古代から明代の各時代の紀伝体の歴史書。南宋時代には十七史、明代には二十一史、清代には二十二史・二十四史が認められた。また、二十五史とする数え方もある。
ウィキペディアの説明は「 国家などが編纂した歴史」の中に「中国の二十四史」が含まれているが大辞泉は分けて説明している。そして「その国の政府が正統と認め、対外的に主張し、また教育する自国の政治の流れ」という大辞泉には無い説明がある。
ウィキペディアには「主に国家によって公式に編纂された王朝の歴史書」と説明するが、二十四史には『史記』などの私選が含まれる。もっとも「主に」であるから全てとはいってないということにはなるけれど、大辞泉の説明は「最も正統と認められた」であり、国家が編纂したという要素は入っていない。
次に
正史(特に後述する「断代史」の形式をとる正史)は、その名から「正しい歴史」の略と考えられることがあるが、実際には事実と異なることも記載されている。
と説明されている。「正史」が「正しい歴史」という意味かはともかく、もし「正しい歴史の本」という名前の本があったとしてもそれが正しいとは限らないのは当然のことである。したがってこの説明は不要なように俺には思える。それよりも重要なのはなぜ「正史」と命名されたかだ。
以上のことから正史とはあくまで「王朝が正当と認めた歴史書」という程の意味であり、信頼性の高い史料であるとは言えるが、歴史事実を引き出すには歴史学の手法にのっとり厳密な史料批判を経て行う必要があることに変わりはない。
とあるが「王朝が正当と認めた歴史書」という意味で「正史」だというのは根拠のあることなのだろうか?文章を見る限りでは現代人の視点と「正史」と名づけた人々の視点が区分されずにごっちゃになっているように感じられる。