これは俺も妄想だけど、クブラバリ・トングダ伝説というのは、元を辿れば全く違った伝説だったんじゃないかと思う。
妊婦に岩の裂け目を飛び越えさせるというクブラバリ伝説も、田に入ることができなかった者を殺したというトングダ伝説も人減らしのためという伝説ではなくて、優秀な者を選抜するという伝説だったんじゃなかろうか。
すなわち「獅子は我が子を千尋の谷に突き落とす」型の伝説(スパルタ教育?)だったのではなかろうか?と思たりして…
ところで、与那国島は「女護が島」といわれていたそうだ。
「女護が島」は女性だけが住む島で、八丈島も女護が島伝説がある。八丈島の伝説では「女護が島」と「男が島」の二つの島があり、年に一回女護が島に男が島から男がやってきて一夜の契りを結び、男が生まれれば男が島に送り、女が生まれれば島に残して育てたという。
与那国島にはこのような伝説が存在しないらしいが、イヌガン伝説というのがあり、与那国島に漂着した女と犬が夫婦となったが、そこに男が漂着してきて犬を殺して女と夫婦になり子ができた。犬が殺されたのを知った女は犬の死骸を抱いて死んだというもの。女がいる島に男が外部からやってくるという点では八丈島の伝説と類似している(ちなみに女護が島と同一視される羅刹国の男は首から上が犬なんだそうな)。
女だけといえば「アマゾネス」。
彼女らは、仲間を増やす必要に迫られると 、近くの部族に出かけて行って、適当な男と交わったと言われている。そして、生まれた子供が男であれば、川に投げ込んで殺すか、男のもとに返し、女の子であれば、種族の後継者として大事に育てたという。
これがクブラバリ・トングダ伝説と何の関係があるかといえば、何の関係もなさそうにみえる。しかし、強引なようであるけれど、不要な人間を殺すという点では似ていなくもない。
でも、やっぱり苦しいか…
ただ類話を探して比較してみるのは必要なんじゃないかとは思う。