僧伽羅国

ウィキペディアには

大唐西域記』11巻[1] 僧伽羅国(シンガラ)においてセイロン島(現スリランカ)の建国伝説として記述される。

羅刹国 - Wikipedia
とあるけれど、原田実氏の記事には、

羅刹国のモデルがセイロン島に特定できるかどうかは別にして、

『絵地図の世界像』 Book Review
とあり、僧伽羅国(羅刹国)がセイロン島だというのは推測であって、確定したものではないらしい。


なお『「僧伽羅国縁起」と「羅刹女国」 : 井上靖の説話風作品(佐々木 充)』という論文によると、玄奘は「僧伽羅国」に足を踏み入れていないという。


そうなると、そもそも「僧伽羅国」は実在したのかという問題もある。その辺全く詳しくないけれど、直感としては実在したのだろうと思う。そして実在したのなら「僧伽羅国」はやはりセイロン島である可能性が非常に高いだろうと思う。


※ ただし、これがセイロンの住民による伝説なのか、それとも外部のインド大陸側で流布していたのかという問題があるだろう。


また、原田氏の記事に、

このことは古代インドの叙事詩ラーマーヤナ』で、
ラクシャサ(鬼族。仏典にいう「羅刹」)の支配する島とされるランカが伝統的にセイロ
ン島と同一視されていることと無関係ではないだろう。そもそもスリランカ(=聖なるラ
ンカ)という現在の国名も『ラーマーヤナ』のランカに由来しているのである。

スリランカの国名の由来が書かれている。ウィキペディアにも、

漢語ではセイロン島を錫蘭とも書き、略語は「錫」である。仏典では、人口の多数を占めるシンハラ人にちなんで、島名をシンハ・ドヴィーパ(ライオンの島。獅子の島)といったことから、「師子国」とも記されている。『ラーマーヤナ』に登場するラークシャサ(羅刹)の王のラーヴァナが住まいするランカー島は、現在のスリランカを意味するという説が有力とされてきたが、定説ではない。

スリランカ - Wikipedia
とある。


ランカー島が現在のスリランカなのかも確定したことではないけれど、ランカー島の伝説と僧伽羅国の伝説は羅刹の住む島という点で一致しているから、二つの伝説の舞台は同じ可能性が非常に高いだろう。


大唐西域記』には僧伽羅国の建国神話が二つ載っていて、一番目が「執師子傳說」、二番目が「僧伽羅傳說」。「執師子傳說」は「師子国」の由来について書かれている。超要約すれば「初代国王の父が獅子だから」ということになる。一方、ウィキペディアによればセイロン島も「獅子国」だ。しかしそう呼ばれる理由が異なる。またこっちの「獅子島」もセイロン島だと確実にいえるのか不明。もっと正確な情報を知りたいが難しそう。


また非常に興味深いことに「執師子傳說」にも「女国」伝説が載っている。「師子国」の国王の妹、すなわち獅子の娘が船に乗せられ波剌斯(ササン朝ペルシア)の西に漂着し、神鬼の魅せられるところとなって、多くの女子を産み育てた。それが「西大女國」だというのだ。

其女船者,泛至波剌斯西,神鬼所魅,產育群女,故今西大女國是也。

大唐西域記/11 - 维基文库,自由的图书馆


そこはアマゾネスの国があるとされた地域と重なっているかもしれない。興味は尽きない。