リベラルと徴兵制

既に何度もこの手の話は繰り返されているが

フランスで徴兵制を廃止したのは保守のシラクであって、保守議員たちが中心になって徴兵制を廃止した。徴兵制の廃止に反対したのは、フランス社会党であり共産党であった。イタリアでも、徴兵制の廃止に反対したのは、共産党と緑の者たちだった。徴兵制は左派が存続を求めるものであり、保守派が廃止を訴えるものである。これがなぜか。徴兵制は職業軍人よりも平等性があり、国民皆兵制度による国民の兵士たちによる国の横暴を止める理想を見てきたから。

自民党改憲草案とリベラルの敗北

徴兵制は金持ちも貧乏人も公平に徴兵されて国のために血を流すのだから、左翼リベラルが徴兵制の廃止に反対するのは当然である。


この手の話はリベラルを批判するものがほとんどだから、それ以上のことは書いてない。だから俺がリベラルの立場になって言っておく。


リベラルが徴兵制に賛成するのが当然だからといって、徴兵制に反対してはならないということはない。もっと大きな枠組みで見ればいいのだ。


すなわち、徴兵制であろうが志願制であろうが軍隊そのものを否定すれば良いだけのことだ。既に日本のリベラルがやっていることだ。「軍隊を否定しているから徴兵制も反対」と言えばいいだけのことだ(それで外国に侵略された時に自由と権利がどうなるかということは置いといて)。


人権がどうのとか余計なこと言うから支離滅裂になってしまうのだ。


大体、リベラルは米軍のイラク侵攻の時に「米軍兵士の大半は低所得者層の若者」みたいなことを言って批判していたではないか。徴兵制を否定しただけで志願制を容認したらそうなるのは必然ではないか。リベラルなら「徴兵制か志願制か」という選択なら、民主主義の理念に照らせば徴兵制を選ばなければならないのではないのか?(もちろん徴兵制は錬度が劣るなどの要素を付加すれば話は違ってくるが)


したがって徴兵制を否定するなら、徴兵制も志願制も反対と主張するのがリベラルの取るべき道であろう。



なお兵役だけではなく、労働に関しても

然るに自分は完全な勞働能力を有しながら其の少い食糧を分ちあつて食べる生活資料を消費して居りながら自分の勞力を國家、社會に提供して此の社會に寄與することをしないで漫然と暮して居ると云ふことは、社會正義の上から申しましても許すことが出來ない、又國民經濟の上から申しましても許すことの出來ないことであると考へるのであります

「権利行使には義務が伴う」ってのは社会党の主張だったんだが・・・: hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
と、資産を持っていて働く必要のない人にも国家のための労働を義務付けるのがリベラルの本来の姿である。