出雲は実在しない

神話の世界・出雲王朝VS大和王権〜考古学界も火花散らす (産経新聞) - Yahoo!ニュース
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 朝鮮半島などから土地を引き寄せて島根半島が出来上がったという「国引き神話」、オオクニヌシノミコトによる「国造り」に続く天照大御神(あまてらすおおみかみ)への「国譲り」…。日本誕生にまつわる数々の神話に彩られた神の国・出雲。実は考古学界では数十年前まで「神話だけの世界で実証性に乏しい」と軽視され続けた。

俺は他のことで手一杯で出雲神話について詳しくないんだけれど、出雲神話の出雲とは実在する出雲地方のことではなくて「神話上の土地」だと思う。実在の出雲を舞台にした神話が出雲神話なのではなくて、話は逆で、神話の中の「出雲」はどこなのかということで、現在の出雲地方が選ばれて命名されたということだろう。


そこから古代遺跡が発見されたからといって、その考えが否定されるわけではない。逆に古代に栄えていたからこそ「出雲」に選ばれたのだろうということだってできる。出雲地方が「出雲」とされたのは記紀が出来る前であり、その結果、記紀神話に出雲地方の土地が登場するにしても神話の基本的な部分はあくまで神話が先であって実在する出雲は後である。


※ たとえばオーストラリア大陸の名の由来は「テラ・アウストラリス」で、古代ギリシア・ローマにおいて存在すると考えられていた大陸のことだ。
メガラニカ - Wikipedia
オーストラリアという名の大陸が実在するからといって古代ギリシア・ローマ人がオーストラリア大陸の存在を知っていたということには勿論ならない。


なお、よくわからないのが

 国譲り神話に登場する出雲大社の巨大神殿について松本氏は、「天に届くような神殿を建てたという神話があったからこそ、当時の人たちは高さを追求した」と指摘。「歴史が神話をつくったというより、神話が歴史をつくったともいえる」

という話。松本氏というのは「島根県文化財課の松本岩雄文化財専門官」で、「出雲王朝」肯定派のように思われる。ところが「神話が歴史をつくった」ということは、まさに神話が先ということだ。すなわち「出雲王朝」と記紀神話の「出雲」とは別だと考えているということだろう。ところが記事には

神話のエピソードが決してフィクションでないことを証明したのが発掘調査だった。

と書いている。松本氏が言っているのは神話はフィクションだが神話に合わせて神殿を作ったという話だと思われる。記者がちゃんと理解して書いているのか疑わしい。


※ なお俺の考えでは出雲どころか大和や伊勢も神話上の地であり実在する地名とは本来関係ないと思っている(これは今書いているアマテラスについても重要な意味を持っている)。また土地だけではなく蝦夷も本来は神話上の種族であろうと思う(熊襲や隼人については良くわからないけれど)。