ビルマとミャンマー

ミャンマーについて - 猫を償うに猫をもってせよ

国名表記の問題は前から知っているけれど詳しいことまでは知らなかった。知っているのは軍事政権がミャンマーに変更して、それに反対する人達がいるってことだけ。


というわけで調べてみた。


そもそも「ミャンマー」とはどういう意味なのか?

ビルマは一部族の名だからミャンマーとは無関係だとし、セイロンがスリランカになり、カルカッタコルカタになったように、ミャンマーでいいではないかと言っているのだ。

寺井融という人がそう言っているようなのだが、ウィキペディアを見ると

ビルマ語では、口語的な呼称としてBama(ဗမာ、バマー)、文語的な呼称としてMyanma(ျမန္မာ、ミャンマー)があり、ミャンマーでは古くからこの2つの呼称を使い分けている。

ミャンマー - Wikipedia
と書いてある。ビルマミャンマーの違いは口語か文語かの違いであった。


※なお、

1989年6月18日に軍事政権「国家法秩序回復評議会」 (SLORC) は、国名の英語表記をUnion of BurmaからUnion of Myanmarに改称した。変更したのは英語表記のみであり、ビルマ語での国名は以前のまま同じである。

ともある。知らなかった。


ビルマの漢字表記は「緬甸」だ。アメリカは「亜米利加」でイギリスは「英吉利」でちゃんと読めるけれど「緬甸」はビルマと読めないのではないか?これは「漢語(北京官話)で緬甸と表記」とあり、中国の表記をそのまま採用したようだ。では「緬」とは何か?「緬」は「メン」であり「ミャンマー」が元になっているのではなかろうか?


というわけで、ネット検索した結果、非常に詳しいサイトがあった。
⇒Yuzo's Photo World Quote Page - 「ビルマ」と「ミャンマー」 - "「ミャンマー」か「ビルマ」か" photojournalist in Japan フォトジャーナリスト


これによるとビルマミャンマーはどちらも「ビルマ族」という意味であった。では寺井融という人が言っていることはどういうことなのかというと、これは軍事政権の言い分である。

変更の理由は、「バーマ」というとビルマ人の国家という意味になる。しかし、ビルマには多くの少数民族が暮らしている。それには古くから使われている「ミャンマー」のほうがふさわしいという。

しかし、事実は「ビルマ」と「ミャンマー」は同じ意味。


同じ意味だったらどっちでもいいじゃないかという話だが、これには当然政治的な意味がつきまとう。国名表記を変更したのは軍事政権であり、古来為政者が地名を変更するということは良くあることだ。「ミャンマー」を認めるということは軍事政権を認めるというニュアンスがある。軍事政権に反対なら「ミャンマー」の使用を拒否するということになるんだろう。


※ちなみに俺は民主主義原理主義者じゃないので、それだけの理由で反対するのは躊躇する。


日本の場合には、さらなる問題として、そもそも軍事政権が変更したのは英語表記であり、日本がそれに従う必要は本来無いということがある。考えて見りゃその通りで、ネーデルランドをオランダと呼ぶように、正式名称がミャンマーだろうが何だろうがビルマで良いはずではある。