小林よしのりと麻生発言

またかよ…

侵略戦争はダメだって言ってるんです。自衛のための戦争はやりますよ。北朝鮮が暴発したらやらなければいけません。麻生太郎さんは憲法改正そのものをどうもあきらめた節があり、「ワイマール憲法を形骸化させる手もある」と言った。ワシはあのとき、警戒したんですよ。ナチス・ドイツが全権委任法をつくって独裁に持ち込んだ。このやり方でやる気だなと。

小林よしのり氏、安保法案で安倍政権を批判「ナチスまねて法を形骸化」(発言詳報)


麻生発言はそういうものではないということは何度も書いたので繰り返さない。


ところで麻生発言を「ナチスの手口を見習え」という意味で解釈した人の間にも「こっそり憲法改正してしまおう」という解釈と「こっそり憲法解釈を変更してしまおう」という解釈があるらしい。どっちにしろこっそりとなんてできるはずないのだが。


今は憲法解釈の変更による安保法案が論議されている真っ最中だから、こっちの方が注目されてるんだろう。

麻生太郎さんは憲法改正そのものをどうもあきらめた節があり、

とか言ってるけれど、麻生発言には

私どもは、憲法はきちんと改正すべきだとずっと言い続けていますが、

とある。まあ、麻生発言を「ナチスの手口を見習え」と解釈してしまうような人間だから、これの解釈も自由自在ってことなんだろう。そして麻生発言を批判している人の中にも小林氏の解釈に同意できない人は多数いると思われるが細かいことはいいんだよとスルーされる可能性大。あるいは彼らの読解力を考えればそもそもそこに気付かないとか。


「馬」であっても権勢を恐れて「鹿」と答える。これが「馬鹿」の語源(といわれる)。彼らの場合は権勢は外部にではなく内部にあるのだろう。彼らの脳内にいる趙高を恐れて、そう解釈すると生じる多くの矛盾点を正面から見ることができなくなっているのだろう。



ところで全権委任法は時限立法であった。だが全権を委任されたのだから起源を延長することは簡単なことだ。また全権委任法が成立した1933年に政党新設禁止法が成立しててナチス以外の政党は解散させられているので、もはや議会による民主的な手続きでナチスを転覆させることはできなくなった。一方安保法案は成立したとしても、国民がそれを支持していないのであれば、選挙で自民が敗北して野党が政権を取ってそれを廃止する気があるのであれば覆すことのできるものだ。


それを踏まえて

ナチス・ドイツが全権委任法をつくって独裁に持ち込んだ。このやり方でやる気だなと。

というのは、おそらくは「このやり方」とは、ナチスがワイマール憲法を空文化したことと憲法解釈の変更を「このやり方」とみなしているのだろうけれど、ナチスの決定を民主的に覆すことが不可能なのに対し、安保法案は成立したとしても、それに国民が反対しているのならば、遅くとも2018年には総選挙があるのでそこで覆すことができるのだ。ナチスのやり方というのならその間に覆すことができなくなる何らかの仕組みを作らなければならない。しかしどうすればそんなことが可能なのか全くわからない。