1.静かだったから憲法が変わったことに気づかなかったなんて言ってない。喧噪の中だから気づかなかったと言っている。
2.良い憲法を作るためには静かでなくてはならないとは言ってない。良い憲法が出来ても世論が騒がしければ間違ったことになるということを言っている。
以上のことは既に書いた。これに関して優先順位が低いのでまだ書いてなかったことがある。それは、
麻生氏が「憲法改正のためには冷静な議論が必要だ」と言っているという話。たとえば、
麻生さんを擁護する人々は、麻生さんの「真意」が、憲法について「静かに」話し合うこと、すなわち「熟議」にある旨を強調している。
(中略)
一方、麻生発言を問題視する人たちは、麻生さんが「ナチスからその手口を学び取るべきだ」と言ったことをあくまでも重視する。そして、この点に注目すれ ば、当日の講演に底流する麻生さんの「真意」が、「国民の知らないうちに」「静かに」憲法改正を遂行するところにあることは明らかだと言うわけだ。
⇒麻生さんの「真意」のゆくえ:日経ビジネスオンライン
とか。
このこと自体は良いことだし、それは麻生氏だって否定しないだろうけれど、講演会で麻生氏はそんなことは言っていない。
まず、麻生氏が言っているのは、憲法改正のためではなく、改正された憲法が悪用されないために冷静でなければならないということ。これは上にも書いた。
もう一つは、麻生氏が「冷静な議論が必要だ」なんて言っていないこと。
麻生発言は、東京新聞の要旨によれば
騒々しい中で決めてほしくない。落ち着いて、われわれを取り巻く環境は何なのか、状況をよく見た世論の上に憲法改正は成し遂げられるべきだ。そうしないと間違ったものになりかねない。
朝日新聞の要旨によれば、
狂騒、狂乱のなかで決めてほしくない。落ち着いて、我々を取り巻く環境は何なのか、この状況をよく見てください、という世論の上に憲法改正は成し遂げるべきだ。そうしないと間違ったものになりかねない。
であり「議論」なんてどこにも書いてない。
議論ではなく「世論」である。
一応辞書を引用しておくと「世論」とは
せ‐ろん【世論】
ある社会の問題について世間の人々の持っている意見。よろん。せいろん。「―を反映させる」「―の動向」
⇒「せ‐ろん【世論】」 の意味とは - Yahoo!辞書
という意味である。
議論するのは国会である。そりゃ国民が議論したってそれはそれでいいんだけれど、ここで言っているのは、自民党が憲法改正草案を作って、今後それが国会で議論されることになるだろう。その時に国民1人1人が、落ち着いて、状況を見て判断しなければならないということですね。