織田信長と前田利家

ついでだから『戦国武将と男色』(乃至政彦 洋泉社)に書かれている信長と利家の関係について。乃至氏は二人の男色関係を否定している。これについては俺も3年前に
信長さま×犬千代(2011-01-27)
で既に否定している。もっともこれについてはそもそも学者でこんなことを主張している人を知らない。つまりは「俗説」である。


俗説にいちいちツッコミを入れるのもあまり意味のあることだとは思えない。しかし小説や漫画ならいいけれど、これを史実として、同性愛に昔の人は寛容だったなどという主張をするのはまずいだろう。それは「歴史修正主義」というものだ。俺が上の記事を書いたのも実際にそういう主張があったからだ。


誰が言い出したのか俺は知らない。司馬遼太郎の小説に出てくるという情報があるが、司馬氏が最初なのかはわからない。おそらく違うのではないか。


とにかく原文を普通に読めば、これが男色の話だと解釈するのは、はっきり言ってばかばかしいにも程がある。こんなのは「現在の日本では女性管理職が少ないが、昔は女性でありながら上杉謙信が大名になった例がある」と言ってる(そんなこと言ってる人は見たことがないけど)のと同じレベルのバカ話である。


というわけで、乃至氏がそれを否定している点については同意する。同意するけれど、原文の解釈については同意できない部分がある。


(つづく)