なぜ人は陰謀論を信じるのか

なぜ人は陰謀論を信じるか:安易な俗論を排す - 今日の雑談


まず基本的なこととして。世の中に陰謀は現実に存在する。しかしながら確かな証拠が無いのに安易に陰謀があったとみなすことは慎重でなければならない。陰謀以外の理由で説明がつくかもしれないのだから。ということを理解していればそもそも陰謀論に嵌ることはない(はずだ)。


それを理解しなければ専門外だけでなく専門分野においても陰謀論者になってしまう危険性が高いはずだ。逆にそれを理解していれば専門外のことであっても安易に陰謀論を唱えるのは控えようということになるはずだ。


ではなぜ専門分野ではそんなことはないのに専門外では陰謀論を唱えるというような現象が起きるのか。jura03氏は

その物理学の専門家がロジカルに科学的にものを考えることができるのは、あくまでも物理学のその分野においてどのように考えれば科学的な判断ができるかという訓練を積んできたからだ。

と考える。俺もそうだと思う。ただし、もしかしたらニュアンスがちょっと違うかもしれない。


ある分野にはその分野のパラダイムが存在する(パラダイムという用語の使い方に自信が無いがニュアンス的に受け取ってほしい)。そのパラダイムでは説明のつかない現象(アノマリー)が起きたとしても、そのパラダイムの枠内で説明をつけようと努力する。中にはそれで説明がつかないこともあるけれども、それでも新しいパラダイムに移行することには慎重である。そのような異常な現象が累積されて、それらを説明するのに有効な方法が現われたときに新しいパラダイムに移行する。すなわち専門家は「保守的」に行動する。しかし専門外の人はそのパラダイムにこだわらず、アノマリーが現われたらそれを理解するための新しい説明を早急に求める。ということがあるのだろうと思う。


※なお歴史の分野(俺は世界史に詳しくないので日本史に限定するが)では、陰謀論は専門家の世界で極めて普遍的に主張されている。それでいて在野の歴史研究家の陰謀論を批判する。おかしな話だが、彼らの中に「許される陰謀論(それを陰謀論と認識しているのか定かでないが)」と「許されない陰謀論」の区分けが存在するのだろう。これもまた専門家の間で形成された一種のパラダイムとでもいうべきものであろう。


この話まだ続く。