「志位氏、共産党議員に苦言」について

志位氏、共産党議員に苦言 人質事件で政権批判 - 47NEWS(よんななニュース)
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このニュースだけだと共産党志位和夫委員長が「不適切発言」をした同党の池内沙織衆院議員に苦言を呈したというだけの話になってしまうけれど、この件に関しては産経の記事を読んだほうがいいでしょう。
【イスラム国殺害脅迫】「安倍政権こそ言語道断」ツイートの池内氏、共産は不問? 「党見解」から異例の暴走(1/2ページ) - 産経ニュース

 湯川さんが殺害されたとする画像がネットに掲載されたことに関し、志位和夫委員長は同日朝のNHKテレビ「日曜討論」で「今回彼ら(犯行グループ)がやっていることは残虐非道な蛮行だ。絶対に許すわけにはいかないと強く非難する。日本政府に対しては人命最優先で解放をはかるためにあらゆる手段、あらゆる可能性を追求してほしい」と語った。同党広報部は「志位委員長の発言が党の立場だ」と強調した。

この「志位委員長の発言が党の立場だ」というところが重要。


日本共産党規約(2000年11月24日改定)第五条に「党員の権利と義務」として

(五) 党の諸決定を自覚的に実行する。決定に同意できない場合は、自分の意見を保留することができる。その場合も、その決定を実行する。党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない。

とある。すなわち党員は「党の決定」と異なる意見を持っていたとしても、それをツイッターで勝手に公表してはならないということでしょう。


これを「民主集中制」という。
民主集中制 - Wikipedia
それを踏まえると共同通信の、

「政府が全力で取り組んでいるさなかだ。今、あのような形で発信するのは不適切だ」

というのは、「政府が全力で取り組んでいるさなかにこのような発言は不適切だ」という意味なのか、「党に無許可で党の見解と異なる発言をするのは不適切だ」という意味なのかが、極めて曖昧だ。


しかし「あのような形で」とあるのでおそらくは後者の意味ではないかと思われる。だとすればそれの意味するところは「個人としてそのような見解を持つのは自由だが党が決めた以上はそれに従わなければならないし、党員としての発言は党の見解に沿ったものでなければならない」ということであろうと俺は思う。



※ なお「党の見解=党の決定」とみなされるものなのか、俺はわからない。仮に「党の見解≠党の決定」だとしても、日本共産党のあり方(民主集中制)としては規約違反でないとしても好ましいものではないということになるでしょう。



で、
「「イスラム国」を批判しなければいけない」は全体主義思想そのもの! 批判されるべきは安倍自民党政権だ!


この弁護士先生は

 日本共産党の池内さおり議員が発したツイッターに対し、委員長である志位和夫氏が批判したということが話題になっていますが、この日本共産党の対応は、極めて問題です。

 私も日本共産党の姿勢は宮武先生の見解に賛同するもので、日本共産党までもが「大政翼賛会」に合流するとは何たる大衆迎合か。

と憤っているけれど、党の決定と異なる発言を勝手にするのは、民主集中制の元では規約違反もしくは好ましくないこととなるので、日本共産党の対応はそれに沿ったものであって、共産党というのはそういう政党であって、今回限りのイレギュラーなものではないということになるでしょう。


それが全体主義だというのなら共産党は元々全体主義なのである。そういう批判は山ほどあるのにこの弁護士先生は知らないのだろうか?

(ただし、この話の流れの中で「異論を言う自由を認めよう」ではなくて「今こそ、批判するときなのです」などと書いているところを見ると、この先生の言う「全体主義」とは政府を批判しないことであって、今回のケースとは逆に共産党が政府を批判する見解を出して、それに反して政府を応援する議員が出た場合に苦言を呈することは全体主義ではないと考えている節もありそうではある)。