共産党員の自粛

社会やマスメディアが政権批判を自粛していると一部の人々が主張しているけれども、本当に自粛しているのかは、証拠が全く存在しない現時点では印象論に過ぎない。これだけではネトウヨのマスコミ批判と何ら変わるところがないのである。


そもそも「自粛」というのは、本当はしたいんだけれど慎むということであって、最初から政権批判するつもりのない人が政権批判をしないのは自粛ではない。勝手に人の心を読んで自粛しているんだなんてのは、好きでもない食べ物をすすめられて断ったら「遠慮するな」と言われるようなものだ。


自粛しているというのなら、もっとちゃんとした根拠を示してほしい。


ただし、もしかしたら「自粛」していたかもしれない人々はいる。それは共産党員だ。
志位氏、共産党議員に苦言 人質事件で政権批判 - 47NEWS(よんななニュース)
これは共産党議員が社会通念上不適切な発言をしたから委員長にたしなめられたのだという理解をしている人が多そうだけれども、そうではなくて共産党の見解に対して不適切だからたしなめられたと考えるべきだろう。共産党の規約に

(五) 党の諸決定を自覚的に実行する。決定に同意できない場合は、自分の意見を保留することができる。その場合も、その決定を実行する。党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない。

とあるからだ。議員が党の決定に反する発言をしてたしなめられるのは何も共産党に限ったことではないだろう。ただし共産党の場合は「党員」までその範囲が及んでいる


であるならば、共産党議員がたしなめられたのと同様のことは党員も規約上はできないことになるであろう。もし共産党員のマスコミ関係者がいたら、こういった政権批判を「自粛」していたかもしれない。だけでなく規約には「党の諸決定を自覚的に実行する」とあるので、自分が批判しないだけではなく、そういった批判をしない記事や番組作りをするようにつとめた可能性もなくはないのである。


もちろん、そのようなことがあったという証拠は全くないのだが、共産党員には自粛をしなければならない理由が濃厚に存在したということだけはいえるのである。そしてもしそのようなことがあったとすれば問題があるのは政府でも社会でもなくて共産党の規約(もしくは決定)にあることは言うまでもない。