保守主義とは何か?

保守主義とは何か?」と言っても、ここで書こうとしてるのは「保守主義の思想とは何か?」ということではない。そうではなくて現在「保守主義の定義」とされているものは、いつから言われだしたのかということ。俺はよく知らない。そもそもそういう解説はあまり見ない。でも何となく思うに、現在、日本で「保守主義とは何か?」といった解説で言われている定義(ただし俺から見るとどこかずれてるように見えるものが大半ではあるが)は、実のところ言われだしたのはそんなに昔のことではないのではないかと思う。


もちろん、この保守主義の定義に該当する思想を持った人物はフランス革命を批判したバークその他古くからいる。ただし、「保守主義者」と言われている人物がすべてそれに該当するわけではないと思う。「保守主義者」とは基本的に革命思想に反対した人物のことであって、その反対理由は様々ではなかったかと思う。


そうした状況で、しかし保守主義者とされた人物の思想には共通したものがあるのではないかということになり、特にバークを中心として研究されたものが現在の「保守主義」の定義ということではないだろうか?で、その「保守主義者」の中には自らを保守主義者ではないと主張している人物まで含まれている。有名なのはハイエクで、彼は自由主義者であり、保守主義を批判した著書まである。またチェスタトン保守主義者の代表的人物のように言われることがあるけれど「保守主義」を批判している。またトクヴィル保守主義者かといえば微妙なように思うけれども保守の説明ではよく出てくる人物。しかしながら彼らの思想はバークに通じるものがあるのは疑いない。


逆に「保守主義者」とされた人物でも、その思想が現在の保守主義と相容れない人物もいたに違いない。具体的には知らないけど。


で、そういう現在の定義ができたのはいつかということは、はっきりとはわからない。ずっと昔から保守主義を定義しようという研究はあっただろう。しかし、現在の定義が決定的になったのは70年代以降、そして80年代レーガンサッチャーの時代以降のことではないかと思う。


いわゆる新保守主義と言われていたものが現在の「保守主義」であろう。「新」といっても保守主義の新しい思想というわけではなくて、上に書いたように、保守主義者とされた人物(特にバーク)の思想を研究して「保守主義とは何か」を定義したということだと思う。ちなみに「ネオコン」とは異なる。


だから年配の人には現在の保守主義とは異なる保守のイメージを持つ人がいるし、その年配の人が研究者の多数を占めていたときに書いた解説書を読んだ若い人もそれで理解していたんだと思う。つい最近まで図書館で保守の解説を探しても満足のいくものが本当に少なかったのは、そういった理由によるものではないだろうか。


ここ数年でやっとそれなりの解説がなされてきたように思う。ただし、まだどこかズレているようにも思う。