相対的貧困について多くの人が勘違いしてるだろうこと

(1) 相対的貧困は所得を基準とする。預貯金や不動産等の資産は考慮していない。したがって所得が同じでも、賃貸に住む預貯金ゼロの人と、年金と預貯金取り崩しで生活している持ち家で家賃ゼロの人は、同じレベルの貧困層ということになる。


(2) 相対的貧困層はあくまで「相対的」な貧困ということ。これを理解すべきこと。


(3) ところが「相対的」と理解すると、第二の落とし穴がある。(1)の「賃貸に住む預貯金ゼロの人」の場合、その生活レベルは生活保護受給者以下である。


昨日計算したところでは母子家庭の場合の相対的貧困とそうでない境界は月当たりの収入が14.4万円それに児童扶養手当2万円を加えた16.4万円貧困層の中で一番豊かな生活レベル。一方、生活保護を受給した場合神奈川県K市の場合14.2万の生活費が支給される(+住宅扶助)。


(訂正8/28 児童扶養手当は所得に含まれる)
(訂正8/29 生活保護費修正)
住宅扶助の分だけ生活保護の方が豊か。


(4)しかしながら貧困層ギリギリの世帯も、一般の世帯も生活レベルで見れば、それほど大きな格差があるわけではない。相対的貧困層とは世帯の可処分所得の中央値の半分の所得しかない世帯のこと。だからといって生活レベルも半分というわけではない。夫婦二人世帯の生活費の平均は21.0万円。貧困層ギリギリだと児童扶養手当抜けば14.4万円。6.6万円の差。それなりに大きいけれども内訳で夫婦世帯の住宅費 7.9万円だから、その分を節約すれば差はさらに縮小する。趣味にかけるお金。保険料等も節約すれば、見た目では見分けがつかないレベル。しかもこれは平均だから中間層でもこれより低いレベルの生活してる人がざらにいることになる。貧困層と平均的な世帯の格差の主張部分は預貯金の部分


(5)これは貧困問題とはあまり関係ないけれど、こうしてみると所得が上昇しても消費がそれほど増えず預貯金に回るという話が、具体的に見えてくる。なぜ消費せずに貯金するのかといえば、それは将来の不安とか、急な出費に備えてとか、住宅購入の頭金にするためとか、いろいろある。そこを貯金せずに解決する仕組みができれば、消費が増え景気が上昇するだろう。ただし、その場合は生活レベルが上昇するということだから、貧困層の生活レベルとの格差が拡大し、所得格差が拡大しなくても一目見て中間層か貧困層か見分けがつく「見た目の格差社会」が到来するかもしれない。