消費期限か賞味期限か

ネット上では「消費期限」ではなく「賞味期限」ではないかという指摘があったり、期限切れでも問題ないんじゃないかという指摘があったりするんだけど、俺は一番重要な問題はそこではないと考えていることは既に書いてある通り。そういう考えだから、あまり関心が無かったんだけど、よくよく考えれば、これがちょっと問題ありそうな感じ。


というのも、素人の考えでは、つい自分がスーパーで買うパック入りの牛乳のことを念頭に浮かべてしまうのだけど、不二家が使用したのは当然のことながら業務用であり、我々が考えるものと同じ「牛乳」であるとは限らない。


考えるヒントは「消費期限」と「賞味期限」の違いなんだけど、牛乳の期限表示は、一般の食品が「食品衛生法施行規則」で定められているのとは別に、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で定められているらしい。で、その省令に「消費期限」と「賞味期限」の定義が示されている(確認したい人は自分で省令を調べてください)。


で、「消費期限」表示は具体的にどんな「牛乳」なのかというと、「低温殺菌牛乳」がそれにあたるようだ。
牛乳の知識


問題は不二家の使用した「牛乳」は、何だったのかということだが、ただ「牛乳」とあるだけで、その肝心要のことがわからない。ただし、

(1) 埼玉工場 <1> 消費期限または賞味期限を過ぎた原料の使用18件
過去7年間の間に、消費期限または賞味期限を過ぎた原料を使用したとの例が18件(消費期限15件、賞味期限3件)あったとの報告がありました。
内訳は、消費期限については9件が乳製品(牛乳、生クリーム)、6件が卵類(加糖卵黄、生卵白、生卵黄)、賞味期限についてはブルーベリージャム、チョコビッツ、アップルフィリングの3件でした。
18件のうち5件は期限を1日超過、その他は期限を何日超過したかは不明であり、また18件のうち2件は上司の指示により、消費期限を過ぎた原料を使用した、とのことであります。

不二家洋菓子工場での期限切れ原料の使用等について(お詫びとご報告)(注:PDF)

とあるように、牛乳が「消費期限」表示のものであったことは、当事者である不二家の説明であるところから見て確実である。ちなみに市販の牛乳のほとんどは「超高温瞬間殺菌(UHT法)」だそうで、だから「賞味期限」になる。


※「低温殺菌牛乳」は殺菌方法に手間がかかり高価なので加工用には使わないかもしれない。「加工原料乳」は飲用乳と同品質であっても、政策的な理由か何かで、かなりお安いらしい。詳しいことはわからない。


というわけで、「ウチでは期限過ぎても気にしない」という感覚で、この問題を捉えるのが果たして妥当なのかを考えてみる必要があると思われる。と同時に、こういうあまり素人が気付きにくいことを、ちゃんと説明しないのは問題があるのではないかとか、マスコミもちゃんとそこまで報道しろよとか、いろいろ思うところがあるわけです。