訂正

確認しました。

日経メディカル 2007.8
膨張する「説明義務」の範囲 適応ない治療法にも説明要求
(田邊昇 中村・平井・田邊法律事務所)

経緯は、
1995年12月14日、大学病院で摘出生検を実施。
1996年01月23日、乳房切除術施行。
2005年06月30日、上告却下、判決確定。
ということで、平成13年11月27日の最高裁判決とは別物でした。ここに訂正します。


判例タイムズ社:判例タイムズ1235号(2007年5月15日号)目次

7(高松高裁平17.6.30判決)
乳がんの手術に当たり,他に選択が可能で当時医療水準として確立されていた乳房温存療法についての説明が不十分であったなどとして,担当医師に診療契約上の説明義務違反があるとされた事例

とあるのが、これですね。


既に最高裁判例があり、こっちは平成3(1991)年に手術しているので、それ以降の手術ということで、この判例の影響があるんじゃないでしょうか。いずれにせよ争点は、「当時医療水準として確立されていたか」のか否かということになると思われます。なんでもかんでも紹介しなければならないという話じゃないでしょう。


なお、最高裁の件においては、判例によると、

上告人の乳がんは,霞班の定めた「乳房温存療法実施要綱」の適応基準を充たすばかりではなく,本件手術当時乳房温存療法を実施していたほとんどすべての医療機関の適応基準を充たすものであった。

とあります。


一方、高松高裁の判決では、「日経メディカル」の記事によると、

医師らからみれば適応外の症例でも乳房温存療法を実施している医療機関の名称や所在を教示すべき義務があったというべきである

とあり、また、

2審の高松高裁は、生検結果などから本件の患者は乳房温存療法の適応である可能性は低かったものと認められる

とあるので、医療機関を紹介したとしても結果的には切除することになったであろうと思われます。だったら構わないじゃないかという考えもありますけれど、逆に言えば、治癒の見込みがないのに、治癒できると約束するようなインチキ医療とは話が違うのではないかと思われます。


しかしながら、B医師は、

Yが「乳房温存療法に積極的なC医師のところはどうか」と質問したところ、「内部の人の話で再発が多いと聞いているので、そこはやめておいた方がよい」と返答した。

のであり、それが本当のことかどうかわかりませんけど、それならそれで、別の温存治療を行っている医師を紹介すればいいじゃないかと素人目には思えるのですが、いかがでしょうか。


あと、いろいろ調べたところでは、

1993/7/30(朝日)「乳房の温存手術、87年当時は未確立」乳がん女性敗訴

という記事の見出しがあり、1995年当時、既に乳房温存治療については、相当論議されていたみたいで、やはりここでも最大のポイントは、その時点で、温存治療がどの程度確立していたかということであったようです。